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新生活のスタートと感染症対策 ― 家族で予防を ―

感染症 子どもの病気 教えて!ドクター

(2013年 春号 掲載)

家庭生活から集団生活へ

春は、保育所や幼稚園で、子どもたちの新生活が始まります!
協調、協力、我慢など、集団生活に必要な課題は必ずしも克服されていない個性と個性がぶつかりあい、3歳以降でも動揺することは少なくありません。ストレスで免疫(感染に対抗する力)が低下する場合もあります。施設に子どもを預けて就業する保護者にも当てはまります。社会へ出る一歩として、集団生活が順調に送れるように、園のスタッフはもちろん、保護者も、園での子どもたちの様子を把握し、集団生活が無理なく送れるよう手助けしましょう!

乳幼児の免疫

妊娠末期に胎盤から胎児の血液に移行する免疫グロブリンG抗体や母乳経由で新生児の消化管を保護する分泌型免疫グロブリンA抗体で、生後6ヵ月まで、病原体や毒素の侵入から守られます(受動免疫)。その後、受動免疫は減衰し、2~3歳までは感染症にかかりやすい状態が続きますが、風邪を中心に感染を繰り返して免疫を獲得します(能動免疫)。

ワクチン

ワクチンで予防できる病気は予防接種を! BCG(結核)、ロタウイルスワクチン(胃腸炎)、B型肝炎ワクチン(母児間垂直感染予防と集団生活での水平感染予防) 、ヒブワクチン(髄膜炎)、小児用肺炎球菌ワクチン(髄膜炎)、三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)、不活化ポリオワクチン、四種混合ワクチン(三種混合+不活化ポリオワクチン)、MRワクチン(麻疹・風疹)、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、などが可能です。

何度も同じような
風邪を引く理由

ところが、ワクチン可能な感染症は限定的で、風邪は、ウイルスだけでも200種類以上あり、ワクチンは対応できていません。しかも、くしゃみ、鼻水、咳、嘔吐、下痢、発熱などの症状は共通で、どのウイルスによる風邪か区別がつきません。何度も同じような風邪を引くという印象になる理由です。しかし、実際は、異なる風邪を引いては免疫を獲得し、次第に風邪を引かなくなります。

通園中は、平均月二回、風邪を引きますが、一度に、いろんな風邪と遭遇する機会も多く、次々に引くこともあります。大切なのは、風邪を引かないことではなく、風邪を軽く済ませること!

風邪症状も免疫反応

実は、風邪症状は、病原体を、その種類に関係なく、排除しています(非特異免疫)。鼻水、くしゃみ、咳は空気の通路(気道)から、嘔吐や下痢は食べ物の通路(消化管)から追い出します。それでも追い出せない場合、血液への侵入や中枢神経系への感染を防ぐために発熱します。発熱は病原体の増殖を抑えるほか、後述の特異免疫の成立も促します。

病原体の侵入口となる鼻腔は、粘液で保護され、線毛細胞が病原体を常に追い出しています。さらに、鼻腔周囲の副鼻腔は、流入する外気を加温加湿し、気道粘膜の低温乾燥化を防いで感染を予防します。

一方、嚥下された病原体は胃が処理し、胃で消化されなかった病原体は、腸が活発に動いて(蠕動運動)、下痢で追い出します。蠕動運動は睡眠中に盛んになるので睡眠は大切です。それでも排除が滞ると嘔吐で追い出します。

■風邪の免疫

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特異免疫

風邪症状が続く間、同時進行で、侵入した病原体のみに働く免疫が出来ます(特異免疫)。感染部位では、特殊な食細胞が、ウイルスの感染成立に重要な蛋白のアミノ酸構造(抗原)を細胞表面に提示します。これを契機に、ヘルパーTリンパ球の介助で、特異抗体とキラーTリンパ球が産生されます。 特異抗体は、血中や、細胞間に潜む病原体を処理します。キラーTリンパ球は、既に細胞内に侵入し、抗体では対処できないウイルスを、感染細胞ごと処理します。感染症は、これら二種類の特異免疫で終息します。ちなみに、ワクチンは事前に特異免疫を獲得する処置で、発病しないか、軽く済みます!

風邪の重症化

冬場は冷気乾気で副鼻腔が閉塞し、加温加湿機能が低下します(副鼻腔炎)。鼻腔粘膜は乾燥腫脹し(鼻詰まり)、口呼吸が誘発されます。病原体除去は遅れ、気道感染の機会が増えます。
また、副鼻腔には分泌物が蓄積し、のどに流れます(後鼻漏)。後鼻漏は気管へ吸い込まれると痰がらみの咳を誘発し、食道へ飲み込まれると空気が一緒に嚥下されて胃腸にガスがたまります。拡張した胃腸は蠕動運動が低下し、便秘に陥り、消化管感染の機会が増えます。
結果、病原体は、鼻からも口からも入り放題、腸には溜まり放題!高熱で増殖を抑え、嘔吐で消化管から排除するしかありません。高熱や嘔吐が続けば脱水になります。また、莫大な数の感染細胞が犠牲を強いられ、ダメージを受けます。これが風邪の重症化です。

■鼻詰まり・口呼吸・便秘で風邪はこじれる!

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入園所前から
生活習慣を見直して

感染症の軽症化には、うがい、手洗い、マスク、部屋の換気、などに加え、鼻副鼻腔炎と便秘の予防が大切です。病原体の侵入を最小限に止め、排除を最大限に高め、体への病原体負荷を出来るだけ少なくすることです。
先ず、乾燥を避けましょう! 冬場だけでなく、夏場も、冷房等の影響で冷気乾気を吸い込む機会は多く、鼻副鼻腔炎のリスクは年中あります。部屋の加湿に加え、蒸しタオル等で、加温加湿された空気を鼻からも口からも吸いましょう!

さらに、子どもは家族の生活習慣の影響を受けますから、家族全員で、早寝(快眠で蠕動運動を高め、排便の準備)早起き(朝食後の胃結腸反射で快便)の習慣を付けましょう! 食物繊維や、整腸作用のある乳酸菌やビフィズス菌の日常的な摂取も有効です。登園までに時間がないと、朝食やトイレの時間がなくなり、登園後に腹痛や嘔吐が起きることも!
園で元気に過ごし、風邪も軽く引きこなすポイントは、入所入園前から鼻副鼻腔炎を予防し、早寝・早起き・快食・快便の習慣を身に付けることです。感染症に強い家族になります!

横山俊之先生

操南ファミリークリニック(岡山市)院長。医学博士・小児科専門医。専門分野は小児感染症・免疫・アレルギー。「風邪の重症度は生活習慣で決まる」をモットーに診療しています。

横山俊之

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