ハッピー・ノート.com

ポイントC. 素材の彩りを活かした盛りつけ−②/2012年10月

前回までのおさらい

朝、窓を開けた時の吹き抜ける風が爽やかな気候になりました。少しずつキッチンにも秋の香りが漂う時期。今年も食べ物が美味しい季節がやってきましたね。

 
さて、前回まで料理を作る時のポイントAとB、そしてCの前半まで説明いたしました。
ポイントAとは、相手を考えて献立を決めるポイント、
ポイントBとは、季節感の出し方、食卓の雰囲気と食器選びの注意ポイント、
ポイントCは素材の彩りを活かした盛りつけポイントについてです。
 
また、名画と呼ばれるためには条件が3つあることもご紹介いたしました。
<名画の条件3つ>
①共感を生む
②美感を感じさせる
③歓迎感を表す
 
①を前回、食材の彩りがもつイメージを活かして盛りつけるポイントの説明をしました。
今回は②を料理に当てはめることで、
食卓の雰囲気を変える盛りつけのコツをご紹介いたします。
名画の条件②美感を感じさせる
美感を感じさせるとは、すっきりとバランスが整った画面であることを意味します。混乱し雑然とした画面には、美しさを感じないからです。
それは単に画面上がシンプルに、という意味ではありません。画面の中で何が1番の主役なのかが、ぱっと一目で分かることです。
 
例えばこの有名なレンブラントの絵画。
 
レンブラント 夜警1642.jpgのサムネール画像
(レンブラント・ファン・レイン 「夜警」 アムステルダム国立美術館蔵)
 
これは1642年スペイン軍の攻撃に備えて出動するオランダの市警備団を描いた集団肖像画で、実に多くの人物が折り重なって描かれています。しかしなぜか最初に中央の隊長と副隊長に目がいきますね?
 
これはレンブラント・ライトとも呼ばれている、斜め上方からの強いスポットライトのような光と暗色の画面に映える衣装の白色がアクセントになって、主役が誰なのかが明確にされているのです。
従って、目にした人もぱっと見た瞬間に主役に目が行き、視線が混乱することはありません。そのため、雑然とした印象は与えないのです。
主役をはっきりと示す効果とは

主役中心の構図は、すっきりとした印象で保守的な安心感を表すといわれています。(『配色の基本』 視覚デザイン研究所 出版)

逆に主役の定まらない構図では、開放的で自由な印象を与えますが、不安定で混沌とした気持ちにもさせてしまいます。
 
食卓に集まってきた大切な人たちに、どんな気持ちで過ごして欲しいですか?
主役を引き立てて美感を高めるためのポイント
前述の、主役を引き立てることで美感を高めるポイントが分かりやすく使われている
ルノワールの作品、「ぶらんこ」(1876年 オルセー美術館蔵)を例にご紹介いたします。
 
この絵の主役は、白いドレスを着て真ん中で微笑む女性だ、と多くの人が思うことでしょう。
では、どうしてこの女性が主役に見えるのでしょうか。
 
ルノアール ぶらんこ.jpg
 
ルノワールの手法を分析してみました。
 
1. 色を活かす:
①周囲の人や背景の色と反対色・補色を主役に使うことで、はっきりと存在を目立たせる
→青みがかった景色の中に、淡い黄色の木漏れ陽が斑模様に写し出されたドレス、そして大胆なデザインの青色のリボン。
青色と黄色。補色同士の組合せにより、主役である女性が引立っています。
   
②白色の素材を主役に入れる
→白色は一見主張のない色に感じますが、色の中で最も明度の高い色のため、
主役らしい強さを表すには最強の色なのです。
(マンセル体系の明度と彩度 ご参照。)
 
女性の白いドレスによって存在感を高めていると言えます。
 
 
明度と彩度.gif
 
2. 画面上に描く場所を工夫する:中央に大きく描く 
これは絵画や料理に限ったことではありませんね。
舞台でも洋服の柄でも同じこと。
全体の真ん中というのは目線がいきやすく、かつ大きい存在を占めていればいるほど
注目されやすくなります。
実際の料理にあてはめてみましょう

ミキハウス第8回.jpg

こちらは薄切り豚バラ肉でたっぷりの小口ネギを巻き、にんにくバター醤油のタレで頂く一皿です。

ミキハウス8回サブ.jpg
 
 
周りには付け合わせの野菜やひじき煮、そしてにんじんの自然な甘みを活かしたにんじん丸パン、と賑やかです。
 
しかし、盛りつける際に豚巻きを真ん中に小高く盛り、最も目立つ色の白色(大根おろし)をかけることで存在感を高め、目線がいくようにしています。
 
このように、食卓でも素材の彩りと配置を少し気にすることでぐっとお料理の雰囲気を変えることができます。
 
次回は、名画の条件③”歓迎感”を料理に当てはめて、盛りつけのコツをご説明いたします。

Mama's profile/プロフィール

柏木 直子

柏木 直子 【パン&家庭料理教室主宰】

記事テーマ

たった3つのポイントで食卓が絵画に変身!

毎日の生活の中で家族が顔を合わせ、同じものを共有する唯一の時間が食事。だからこそ家族にワクワクした気持ちで食卓に座って欲しいし、何よりママ自身が楽しんで作れることが1番。家族の喜ぶ顔、それは美しい絵画に出会った時のはっとした嬉しい驚きと同じ。3つのポイントをおさえて献立を考えれば、いつもと少し違った家族の表情が見られるかもしれませんよ!

Vote/この記事に投票しよう

Evaluation/この記事のみんなの評価

lightbulb_outline

なるほどそうか!役に立った

0

favorite_border

わかる!わかる!共感した

0

feedback

この記事へのコメント

0

Comment/この記事にコメントしよう

Archives/柏木 直子さんの記事一覧

最新記事

記事一覧を見る

注目トピックス

トピックス一覧を見る

Weeklyゴーゴーリサーチ