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獣医師小田 寿美子
子どもとペットのいる暮らし
獣医師 小田 寿美子
犬猫をはじめ、うさぎやハムスター、小鳥など、家族の一員として、また子どもの情操教育のために、ペットは日本の家庭にも欠かせない存在になってきています。ペットのいる暮らしに関するさまざまな疑問、メリットやデメリットについて、専門的な立場から連載していきます。ペットの問題行動カウンセラーとしても活躍する、筆者ならではの多彩な視点から述べます。

誤飲トラブル⑤犬種、特性編

輝くママの NEWSな“おはなし”

2015年 2月

悲しい事故

先日、職場に「犬が昨日チョコレートを食べたらしく、痙攣が止まらない。どうしたらいいか?」という問い合わせがありました。

過去に何度かチョコレートの誤飲はありますが、たいていは飼い主がその場を目撃するか、あるいは帰宅後すぐに気づくため、来院してもらって催吐処置などをすることで事なきを得ます。

ところが、今回は飼い主が気づかず、調子が悪くなってから他のご家族からチョコレートの誤飲を伝えられたそうで、既にテオブロミン中毒による痙攣を起こしていました。こうなると治療は痙攣を止める対症療法となります。しかしチョコレートに限らず痙攣を起こしている中毒の予後は非常に悪く亡くなる可能性が非常に高いです。そのことをお伝えすると、飼い主の方は自宅で経過を見るとのことでした。

誤飲しないように予防対策が取られていれば、またすぐに気づくことができれば起こらなかった悲しい事故でした。

誤飲と犬種の関係性

世界中には様々な犬種がいますが、犬の進化家畜化の過程で分岐した際に、同じような遺伝的背景をもったまま分離したと考えられる犬種のグループ分けがあります。

Group1:古代犬  柴犬、秋田犬、バセンジー、アフガンハウンド、シベリアンハスキーなど

Group2:トイ  ポメラニアン、チワワ、パピヨン、シーズー、パグなど

Group3:スパニエル  コッカースパニエル、キャバリア、イングリッシュセッターなど

Group4:セントハウンド  バセットハウンド、ミニチュアダックス、ビーグル、ワイマラナーなど

Group5:ワーキング  ドーベルマン、ミニチュアシュナウザー、プードルなど

Group6:マスティフ  ブルテリア、マスティフ、ボストンテリア、ブルドッグなど

Group7:小型テリア  ケアンテリア、ヨークシャーテリア、ウェストハイランドホワイトテリアなど

Group8:レトリバー  ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、フラットコーテッドレトリバー、セントバーナード、ロットワイラーなど

Group9:ハーディング  コリー、ボーダーコリー、ウェルシュコーギー、オーストラリアンシェパードなど

Group10:サイトハウンド  ボルゾイ、グレイハウンド、イタリアングレイハウンド、ウィペットなど

これらのグループ間に誤飲の経験に偏りがあるかを調べた調査によると、レトリバーグループは高い誤飲傾向がありました。またワーキングとサイトハウンドグループも高い傾向がありました。

飼い主へのアンケートとの関連性

飼い主へのアンケート項目と、誤飲の関連を調べたところ、家族構成や多頭飼育などは誤飲との関連性はありませんでした。

犬の避妊去勢との有無は誤飲発生と関連があり、避妊去勢している犬のほうが誤飲発生率が高いことがわかりました。

気質スコアとの関連性

犬の行動解析システムC-barqでは以下の13の気質のスコアが算出されます。

見知らぬ人への攻撃、飼い主様への攻撃、見知らぬ犬への攻撃、同居犬への攻撃、

見知らぬ人への恐怖、物音や影に対する恐怖、分離不安、接触過敏性、訓練性、

追跡能力、興奮性、愛着行動、運動活性

 

これらの気質スコアと誤飲発生の間に関連性があるかを調べたところ、2つのスコアが誤飲に関係しました。

愛着行動が高い犬と追跡能力の高い犬は誤飲の発生率が高いことがわかりました。また、興奮性が高い犬も誤飲の可能性が高い傾向がありました。

このことから、誤飲の発生率を高める要因は犬の愛着行動に関与することが明らかになりました。つまり、誤飲しそうになると飼い主が声をかける、あるいは見るという注目が向けられます。これが報酬効果をもち、犬が次第に誤飲に関係する行動をより取りやすくなる、ということが考えられます。つまり、誤飲発生の位置要因として、飼い主からの注目を得るために犬が起こしている行動だということがわかりました。追跡能力に関しては、獲物を捕らえる、という行動と関連すること、興奮性が高い場合は、興奮しながらつい飲み込んでしまう可能性があること、が考えられました。

まとめ

愛着行動が誤飲発生の強い要因になっていることから、犬は飼い主からの注目を集めるために誤飲などの危険な行動を起こしていること、飼い主が適切な注目のしかたをすることで、誤飲の発生を低下させられることが考えらました。

何かをくわえた時、あわてて大騒ぎで取り返そうとすると、取られまいとして逃げたり、唸って守ったり、小さなものなら飲み込んでしまう可能性が高くなります。
そのあわてて取り返そうとすることが、普段あまりかまわれていない犬にとっては、飼い主からの注目という嬉しい報酬となってしまいます。
そうならないためには、前回しつけ編でご紹介したように、合図でくわえているものを放す練習をしっかりやって、飼い主自身が、
犬が何かをくわえてもあわてずにいられるようにしておいたり、普段から、おりこうさんにしている時ほど、きちんと注目して、報酬をあたえることが大切です。

 

出典:犬猫の誤飲、その診断と治療、防止法~保険金支払いデータ等から~

    アニコムホールディングス株式会社 川原井麻子

    日本獣医内科学アカデミー2013年次大会プロシーティングp.204-205

お知らせ

犬の行動解析システムC-barq

http://cbarq.inutokurasu.jp/veterinary/

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