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待機児童対策?!育休中に子どもが保育園を退園させられる?!パート2 <~親にとって、自治体にとってのこの問題~>/2015年7月

自治体にとってのメリット

2015年4月から「子ども子育て支援新制度」が始まり、自治体により親が育児休業(以下、育休)をとることによる子どもの保育継続について異なる見解をだしました。

  • A市は、今までは退園させていました。しかし、新制度(法律)に基づき、親が育休中も年齢関係なく在園児の保育は継続と決めました。
  •  B市は、今までは、4歳以下は親が育休中は退園させていました。しかし、新制度になり、待機児童のかねあいもあり、2歳児以下を退園させることを決定しました。
  • C市は、今まではどの年齢の在園児も保育継続でした。しかし、新制度になり、国の方針に基づき、2歳児以下を退園させることを決定しました。


ここまではパート1の復習です。


ではこの政策の自治体にとってのメリットを考えてみましょう。
パート1で述べたように、この政策の実質は「待機児童交換作戦」です。しかし、手続き上C市は、「退園届け」なるものを親に提出させるようです。親に「退園届け」を出させ、自主退園の形をとると、自主的な退園として処理できるので、待機児童としてカウントしなくてよいため、市の待機児童として公表する数にはカウントされません。そのため、自治体としては「待機児童が減った」と言えるため、保育園を作る必要性もなくなるというメリットがあります。

自治体にとっての真のデメリット

上記に述べたように、目先の待機児童対策にはなります。しかし、長い目で見ればこれは少子化は推進させる政策とも言えます。賢いパパママは自治体の動向を見守り、妊娠する時期を考えます。

 

A市では、今年からはいつでも第二子、第三子を検討できます。しかし、B市、C市は、上の子が3歳児以上のクラスになったときに、出産し育休をとらないと退園になるので、それまでは妊娠抑制する家庭もでてきます。もしくは、市にコントロールされるのが嫌だという家庭は、ほかの自治体に引っ越します。税金を落とす働く世代であるパパママたちが子育てしやすい他の自治体に流れるでしょう。これは、B市、C市にとっては、長い目でにみるとデメリットにほかなりません。



具体的に考えてみましょう。仮に自治体の運用ルールに則り、子育てを計画すると、B市、C市の場合、37歳で第一子を産んだママは、第一子の気持ちを考えて、40歳(第一子が3歳児以上)の時にしか、第二子を産もうとしません。しかし、現実問題、40歳の時に第二子が授かるかどうかは不透明です。統計的には授かりにくいと言わざるを得ません。結果的に、親が望まざるを得ない【少子化】、もしくは、【ひとりっこ状態】になりうるのです。
このことを自治体はわかっているのでしょうか?
 

毎年1つでもいいので保育園を増やせば、待機児童もなくなり、働くパパママはどんどん家族を増やし、少子化対策にもなると思います。
「うちは子ども二人の予定だったけど、あまりにもいい保育園に出会い、3人目を計画した」と、以前ある保育園パパが言っていました。

 

自治体は、市民である親の声に耳を傾けて政策を考えればいいのに、なぜニーズに反する政策を考えるのでしょうか?

親にとってこの問題はどうなのか ~心理の視点からの考え~

親は親なので、退園対象になる上の子どもの混乱する気持ちを考えると、妊娠を見合わせざるを得ないというのが正直なところでしょう。だから、仕方なく妊娠抑制を行うことを検討します。


すでに妊娠した後に、この新ルールの運用を知ったママは「上の子の気持ちを考えると、妊娠を素直に喜べない」と葛藤があることを教えてくれました。あるママは「息子にある日突然保育園にはもう行けないよなんて言えない。言いたくない。」と胸の内を語ってくれました。


不安で夜も眠れないママも少なくないようです。安心して過ごせないマタニティライフのきっかけを自治体が作ったことに、臨床心理士としても、助産師養成大学の非常勤講師としても、甚だ疑問です。

女性弁護士が捉えるこの問題 

さてさて、この問題は法律の視点から捉えるとどうなのでしょうか?

この件について、同じ女性である磯部たな弁護士(弁護士法人パートナーズ法律事務所)に教えていただきました。

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これは、行政が、【見かけだけの待機児童の減少】(退園に追いやられる児童は、育休中は、退園児童には計上されず、他の児童が入園することになる)を求めたものであり、何ら手当をほどこすことなく、突如として在園児から園生活を奪い去った結果、在園児の【保育を受ける権利に対する配慮を欠く】ことになったものです。


もちろん、一人でも多くの児童が希望する保育園に入ることができ、保護者が働きながら安心して子育てができるためには、自治体や国のさらに積極的な保育政策と公費投入は当然行わなければなりません。


 しかし、継続した保育を望む在園児の希望をかなえることは、児童の精神面生育面で極めて大切なことです。



少子化対策、女性の社会進出が、最優先の課題とされる今の社会で、このような【子どもを犠牲にする政策】は許せません。

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磯部弁護士、わかりやすく女性ならではの視点でこの問題について教えてくださりありがとうございます! 普段は、ほんわか&にこにこした磯辺弁護士ですが、ビシッとバシっと問題点について教えてくださいました。

まとめ


親が育休をとった場合、親が希望したわけでもなく、子どもが在園している保育園を退園させられる問題について、親にとって、自治体にとってどうなのかという視点で今回考えてみました。

自治体の政策として捉えると

  • 待機児童対策の王道は保育園を増やすこと
  • 目先の付け焼刃のような待機児童政策では、結果的に自治体・国にとって少子化を推進させ、デメリットになる


 心理の視点として親の気持ちを考えると

  • すでに妊娠している親の心は上の子の気持ちを考えると不安になり、安心してマタニティライフをすごせない
  • 人によっては、不安になり夜も眠れないなど体に症状がでる
  • 行政の政策により、妊娠したいけど、今は妊娠しない方がいいのかという葛藤に苛まれる

 

法律家の視点として

  • 見かけだけの待機児童の減少
  • 保育を受ける権利に対する配慮を欠く
  • 子どもを犠牲にする政策


というポイントがあります。

 

待機児童問題として(パート1の復習)

  •   児童福祉法では、両親が共働きなどで保育できない子どもを、市町村は保育所で保育しなければならないと定めている
  •   待機児童がいる時点で、その自治体は、明確な違法状態にある

という2つのポイントがあります。

 

【待機児童対策は、保育園を増設すること】が大事です。保育園ライフを楽しいと感じている親子の気持ちを引き裂き、混乱させることはあってはなりません。新しい家族の誕生をみんなで楽しく安心して迎えられる政策を国・自治体には考えてもらいたいです。待機児童・育休中家庭など関係なく、どの家庭も楽しく幸せな保育園ライフを過ごせるように、保育園が増えることをアピールしていかねばなりません。

 
このテーマについては、色々な考えがあると思います。皆さんからのコメント、お待ちしております!

Mama's profile/プロフィール

ひらきだ ゆき

ひらきだ ゆき 【臨床心理士 精神保健福祉士】

記事テーマ

カウンセラー通信:自分らしい楽しいお産と子育てをしよう 

初めてのお産・子育てって不安ですよね?でも大丈夫。ママが主体的であれば、赤ちゃんも力を合わせママとお産を頑張ってくれます。初めての母子での共同作業のスタートが主体的であれば、その後の育児もとまどうことはあっても、そのママらしい力が発揮でき、赤ちゃんも自己発揮できます。そのお手伝いを、カウンセラーの視点から楽しく具体的にさせて頂きます!

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