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子どもの心のケア(PTSD)

東日本大震災関連特別寄稿 教えて!ドクター

被災地以外の子どもにも「外傷後ストレス障害(PTSD)」を考えておく

今回の東北関東大震災後の津波の映像や様々な悲劇の報道ニュースによって、子どもの心が大きく傷つき、不安感を募らせています。明るく、無邪気にふるまっているような子どもでも、今後「外傷後ストレス障害(PTSD)」を発病することがあります。

まずは、私たち母親、父親が、子どもにとって一番安心を与える存在であることを よく自覚し、注意深く観察し、きめ細かい対応をとる必要があります。

1.外傷後ストレス障害とは

不慮の事故や災害など思いがけない体験が心の傷となり、その記憶がストレスとなって不眠や不安、悪夢や恐怖、無気力感などの症状をもたらすことです。

2.外傷後ストレス障害の歴史

1980年に米国精神医学会が発表した「不安障害」の一つを示す医学用語です。これはベトナム戦争でトラウマ(精神的な傷)を経験した人たちが米国に戻った時に社会に適応できず、様々な精神症状を示したことが始まりです。日本で有名になったのは、1995年の阪神淡路大震災後の時ではないでしょうか。

3.子どもにどのような症状がいつ頃から出現するのか

震災後数週から数ヶ月の間にみられますが、時には数年経ってから発症することもあります。
指しゃぶりをしたり、母親から離れないなどの「退行現象(赤ちゃん帰り)」が起こったり、急に無口や元気がなくなったり、逆に理由なく暴れたり、暴力を振ったりという行動が現れるなどです。

症状のチェックシートもあります。

参照:文部科学省HP「子どもの心のケアのために」(PDF)

4.外傷後ストレス障害の子どもへの対応

(1)子どもに安心感を与える:赤ちゃん返りを叱らない。子ども一人にしない。家族で一緒に食事をしたり、遊んだりする。抱きしめるなどのスキンシップをする。悲しみ、怒り、不安を感じることは普通のことと教える。自分を責めている子どもには「あなたが悪いのではない」と話す。「頑張って」「我慢して」ではなく、「守ってあげるよ」「大丈夫だよ」と言葉をかける。

(2)子どもが混乱している内容を整理する:子どもが同じことを繰り返し質問しても、丁寧に答える。

(3)子どもの気持ちを受け止める:目を見て、相づちを打ちながら、話を聞く。

(4)子どもに活動の場を与える:コミュニケーションの場に参加させる。絵かき、作文などで自由に気持ちを表現させる。負担にならない程度の手伝いをさせる。

もちろん、大人も無理せず、孤立せず、周囲の皆さんとともに問題を解決しましょう。

服部益治先生

兵庫医科大学小児科教授、医学博士。日本小児科学会専門医、日本腎臓学会専門医。兵庫県小児保健協会副会長、兵庫県小児科医会理事ほか。専門は、小児科全般、小児保健、傷害予防、腎臓病、夜尿症など。次世代を託す子ども達に夢大きく心豊かに育ってもらうため大学内外で活動中。

服部益治

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