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日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター鈴木 麻奈美
和の魅力
日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター 鈴木 麻奈美
グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。

輝くママの NEWSな“おはなし”

2014年 6月

はじめての能

DSCF1670.JPGのサムネール画像

 

能というと、堅苦しい、難しそう、眠ってしまいそう、敷居が高い・・・

そんなイメージが飛び交う中、一方では雅な幽玄の世界に魅せられた方々に愛され、しっかり守り続けてこられてきた古典芸能。その歴史は600年にも及ぶという。

残念ながら、私は、そんな能の魅力を知らずにここまできました。

表情のない面、絶対音階のない音楽、ストーリー性のない舞い、独特の抑揚のついた謡(うたい)、地味な大道具、年配の方や一部のマニアックな人たちが見る、能は遠くて近寄りがたいものでした。

 

でも和の魅力をお伝えしながら、こんなに歴史のある古典芸能にいつまでも触れることなく過ごすのは何だかもったいないことのようにも思えます。まずはこの目で確かめてみようと、能の世界をちょっと覘いてみることにしました。

『百聞は一見にしかず』とすぐに能を観に行きたいところですが、

知らない→わからない→難しい→つまらない→ねむい

の悪循環に陥らないためにも、まずは少し知識を入れてから!ということにしました。

DSC_2202.JPG

能組

『能組』とは番組、要するにプログラムのことです。まずはその見かたから。

えーそこから?!と言いたくなりそうですが、初めて見るには、ちょっと解りづらいので、パターンを知っておくとよいでしょう。

大きな文字で書かれているのが『演目』タイトルで、そのすぐ右横に記されているのが主役。能の世界では『シテ』と言います。そのさらに右には『シテツレ』といって主役の助演者が記されます。

演目の下には『ワキ』脇役です。左側には『ワキツレ』で脇役の助演者です。

下には『囃子方(はやしかた)』として大鼓・小鼓・笛。

ワキツレの左には『間狂言(あいきょうげん)』といって、間であらすじを説明する者。

さらに左は『後見(こうけん)』舞台進行上の黒子です。

その下には、『地謡(じうたい)』バックミュージック歌担当です。

DSCF1674.JPG

舞台

DSCF1675.JPG

能を演じる舞台をご覧になったことがあるでしょうか?

屋内なのに、舞台には屋根がついています。舞台の左手の方には『橋掛り』といって渡り廊下のような構造になっています。そこには『揚幕』があり、奥は『鏡の間』。シテが面をつけたり、囃子方がお調べをする、要するに楽屋です。橋掛りの周りには松の木が植えられています。

本舞台の四方には柱が立っています。『目付柱』『脇柱』『笛柱』『シテ柱』と名前がついており、能面をつけて視野が狭いシテの目印となっています。

本舞台の後ろに位置するのが『後座』 お囃子や後見が座ります。地謡は本舞台の右手側に座ります。

ステージを大まかに知っておくと、席を取る時に役立ちます。柱が目ざわりにならないように注意してください。

DSCF1678.JPG

謡(うたい)

能は謡(うたい)とよばれる声楽にのって物語が進行します。

セリフや状況説明や解説から成り立っているミュージカルのようなものです。

独特のリズムで音程は微妙な変化で絶対音階はなく、調律は舞台上のシテや地頭(地謡のトップ)によって決められるそうです。歌唱法は強く息をはいた歌い方の『強吟』と息をなだらかに使う『弱吟』に分けられます。機会があれば、謡(うたい)をやってみるのも楽しくてお勧めですが、まずは詞章としての謡を予習していけたらいいですね。これが理解出来たら、あらすじを知ることが出来ます。しかしながら、謡の文体は古文。ちょっとわかりづらいですね。なので、手っ取り早く、パンフレットに書かれた観能のしおりに目を通していけばいいでしょう。歴史や古典文学に興味のある人は能の世界にスムーズに入っていけるでしょう。また、歌舞伎や日本舞踊に共通する演目もあるので、そこから入っても親近感が湧きますね。

能観

さあ、いよいよ能観!

DSCF1622.JPG

 

以前感じていた能への敷居の高さは、ちょっとお洒落して着物で観賞という楽しみに変わりました。

予習のおかげで居眠りしてしまうかもという不安も消え、堂々と正面の見所(けんしょ)に席取りさせてもらい、ワクワクとした気分で始まりを待ちました。

開演を告げるベルも放送も幕もありません。『鏡の間』から聞こえてくる『お調べ』(調律)が始まりの合図です。

 

迫力のあるお囃子、独特の謡、美しい足の運び、しなやかな所作、能の世界へ少しずついざなわれていきました。

演目は『隅田川』といって、子を亡くした母親の悲哀の物語。

涙に至るまでの感情移入は出来ませんでしたが、ひとつ、気付いたことがありました。

能面は『無表情』ではなく『無限表情』なのだということに。

能面をやや仰向けることを『テラス』といい、笑ったように見せ、

うつむかせることで『クモラス』といい泣いているように見せる。

でも表情は二面だけでなく、ましてや無表情でもなく、無限にあるということに気付きました。

まだそれをよみとるとまではいきませんが・・・

幽玄の世界

ここまで書いてきて、今更、何ですが・・・

私がお伝え出来ることって何だろう・・・と思います。

この古典芸能の理念は何なのか、よくつかめずにいます。

結局、言葉では伝えられない、空気感とか余情であるとか・・・とても曖昧なことのようです。

あえてその魅力を言葉にするなら、やはり『幽玄』でしょうか・・・

そう、『奥ふかくてはかり知れない事』『深い余韻、余情のあること』

私がイメージする能に一番近い表現です。

そんな幽玄の世界をあなたも覘いてみませんか?!

お知らせ

   参照

金剛流 豊春会 春の能

『能って、何?』 松岡心平編 株式会社 新書館

『新選 国語辞典』  金田一京助・佐伯梅友・大石初太郎 小学館

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