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和の暦/2014年2月

太陰暦ーお月さま

和の文化や日本の伝統行事を語る時、切っても切れないのが旧暦といわれる和の暦ですね。

現在私たちは太陽暦に基づくカレンダーを使っていますが、昔の人は、夜空を見上げて、月の満ち欠けから、日を知りました。

新月は1日、三日月は3日、満月は15日といった具合に・・・

何とも壮大な宇宙の中で自然と共に暮らしてきたことでしょう!

今はお月見の日でさえ、月を見ることを忘れてしまいそうになるぐらい月を意識して生活することはありませんが、昔の人は、月を信仰の対象としたり、パワーを感じたり、女性のからだのリズムを重ねたり、月に寄り添って生きてきました。そんな中で言葉を生み、行事を作り、文化を育んできました。

例えば満月近辺の日を現わす単語が、日ごとにあります。

十四日・・・小望月(満月の前夜)

十五日・・・望月(十五夜の満月)

十六日・・・十六夜(満月より少し遅れてためらうように出る月)

十七日・・・立待月(立ちながら待つうちにすぐ出てくる月)

十八日・・・居待月(出るのがおそいので座って待つ月)

十九日・・・臥待月(出るのがおそいので寝て待つ月)

満月をめぐって出来た何ともロマンチックでユニークな表現です。月への心情が単語となっているのですからね!

月を詠んだ素晴らしい和歌や俳句が生まれたのも、納得がいきますね。

月はあたりまえであって、特別なもの、そんな存在だったのですね。

二十四節気と七十二候

1年を24にわけて名前をつけ、季節の移り変わりを表したものを『二十四節気』、

二十四節気をさらに3つにわけ、約5日ごとにその時期の特徴を表したものを『七十二候』といいます。

暦につけられた季節の目印です。

『二十四節気』とは、立春とか大寒とか夏至とか・・・カレンダーで目にしたり、天気予報で聞いたり、手紙やスピーチの時候の挨拶で使われたりとかで、馴染みのあるものですが、

『七十二候』というのは、あまり耳にしたことありませんよね。

こちらは、動植物の様子や気候の変化を漢詩で表しています。

例えば、こんなかんじ

二月四日からは『東風解凍』という漢詩で表され、読みは「はるかぜこおりをとく」

四月二十五日からは『霜止出苗』で「しもやんでなえいずる」

五月五日からは『蛙始鳴』で「かわずはじめてなく」

などなどです。農耕民族であった日本人にとって、季節の移り変わりや自然とのかかわりはとても重要だったことがうかがえます。

でも最近の異常気象やグローバル時代においては、すでに古典の中での暦になっていくのでしょうか・・・

それとも現代風に七十二候も、『花粉舞』とか『黄砂降』とか『ボージョレ・ヌーボ解禁』とか

そんな風に様変わりしてくるのでしょうか?

時代の移り変わりは否めませんが、美しい季語、残したいですね。

立春と節分

さて、そんな旧暦でいう二月四日『立春』は新しい年の始まり!

そして、その前の日は『節分』ですね。冬から春へ季節を変える節目です。

世の中の災いも、言う事聞かない子どもも、異常気象や災害も、思い通りにいかない仕事も、家族の小さなすれ違いも、不意の事故や病気も、別に鬼の仕業ではないことはわかってはいるけれど、豆でもまいて、スカっとしましょう!

それぞれに自分の中の鬼を追い出しましょう。

私は自分の中の怠けものの鬼を追い出したいです。

そしてまたひとつ数を増やした豆と恵方巻きをほおばりながら、「無病息災」を願い、自分自身に誓いを立てる・・・そんな節分にしたいです。

今年の恵方は東北東!

        『鬼は外!福は内!』

旧暦

このデジタル化されグローバルな時代に、今なお、何ゆえ旧暦にこだわるのか・・・?

女性の体は月のリズムより、基礎体温をつけた方が合理的だし、七十二候より天気予報の方が最新で詳しいし、二十四節気を知らずとも、どうせ俳句も手紙も書かないし、季節の野菜も果物も年中手に入るし、旬のものを食べなくても栄養はサプリメントで補えるし・・・

旧暦を失ったところで、特に不便はなさそうだ。

でも、本当にそれだけでいいのか?

いくら便利になっても、進んでも、手に入れるものが増えても、私たちは、それだけでは真に豊かに生きていると言えないことにうすうす気づいている。

本当に厄介な生き物だ。

だから今なお、必要なのだ。月のリズムとやらが・・・

 

『新月で自分を見つめ直し、満ちていく月(上弦)にエネルギーを取り込み、満月に思いっきり発散して、欠けていく月(下弦)で、いさぎよく手放していく』

                       (Yin&Yang Calendar 月のリズムより)

 

流されるまま何気なく過ぎていく毎日を・・・または、忙しすぎて自分を省みる時間もない日々を、月のパワーをかりて、自分と向き合う時間を作っていくことが出来たら、もっと充実した日々を過ごせるのではないかと思う。

七十二候だって、『蛙始鳴』に蛙がいなくなった田畑に危機感をもったり、『霜止出苗』の景色を子供に語ったりしながら、

自然の恩恵を受けながら、生きていることに感謝したい。

単に曜日と日にちをチェックするカレンダーだけではなく、

和の魅力に溢れた、そんな暦を私たちはまだ持っているのだから・・・。

DSCF1079.JPGのサムネール画像

Information/お知らせ

参考文献&サイト

『新明解 古語辞典』 監修 金田一京助  編集代表 金田一春彦  三省堂

『新選 国語辞典』 金田一京助・佐伯梅友・大石初太郎    小学館

『ほんとうの和の話』   広田千悦子  文藝春秋

 

『月の満ち欠けリズムに寄り添う暮らし』   輝くママ 小川千秋

http://www.happy-note.com/shine/profile/post_8.html

 

『Yin&Yang Calendar』

http://www.yinyang-calendar.com/

 

 

こちらも是非、ご覧下さい!

『和のSmile』  鈴木 麻奈美

http://ameblo.jp/wanosmile/

Mama's profile/プロフィール

鈴木 麻奈美

鈴木 麻奈美 【日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター】

記事テーマ

和の魅力

グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。

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