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PISA その②数学的リテラシー/2012年5月

意見は「人それぞれ?」

前回はPISAの「読解リテラシー」の例題を掲載しました。

私が初めてあの問題を見た時に思い出したのは、小・中学校での道徳の授業。

 

問3の設問には

 

「あなたは、この2通の手紙のどちらに賛成しますか。片方あるいは両方の手紙の内容にふれながら、自分なりの言葉を使ってあなたの答えを説明してください。」

 

とありました。義務教育の「道徳」の授業でも、一つの事例を皆で共有し、それについて自分はどう思うかを発表した(言わされた?)ものですが、最終的には先生が”もっていきたい結論”に着地させた、という印象が今も強く残っています。問3の設問とは真逆ですね(笑)。

 

こと「道徳」に関しては、「先生の人間としての力量」×「教育指導要領」が大きく反映されます。ただ、私が小・中学生だった20数年も前とは時代も変わり、かつての日本が得意とした『人間としての社会的な道義』が希薄になりつつある現在は、『人によって意見は様々であり、絶対的な結論が出ない場合もある』という考え方が主流になってきています。

 

では、前述の問3「あなたの答えを説明して下さい」の正答率が上がったのか?

私の考えは「否」です。

 

最近、何かにつけ「ま、人によって色々だよね」のひとことで片付くことが多いと思うのは私だけでしょうか?

たしかに正論。

しかし、このフレーズは様々な考えを散々述べ合った後に使うべきであり、何の話し合いもしていない(もしくは浅い)うちから使うフレーズではありません。PISAの結果も重要ですが、PISAの結果のみに翻弄され、世の中にはむやみに「新しい教育」を形だけ取り入れる場合も多々ある、ということを親として知っておきたいですね。

数学的リテラシ-とは

さて、今回は「数学的リテラシー」。OECDは数学的リテラシーを

 

「数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族や親族との社会生活、建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において確実な数学的根拠にもとづき判断を行い、数学に携わる能力」

 

であると定義づけています。

よく「算数や数学ができたって、社会に出たら全然使わない」という言葉を聞きますが、こんな風に定義づけられると算数の先生としてはかなり嬉しいです。

特に「思慮深さ」は「感情的」とは対照的な軸。論理的に物事を考える事ができなければ思慮深さは身につきにくいですよね。

 

では、「数学的リテラシー」の問題を見てみましょう。

ベストカーに関する問題

ある自動車雑誌では、ある採点評価システムを使って新型車を評価し、その総得点で一番点数が高かった車に「カーオブザイヤー」の賞を与えています。5種類の新型車を評価し、その点数を表にまとめました。

自動車  安全性(S)  燃料効率(F)   外観(E)   内装(T) 

 Ca      3           1         2        3

 M       2          2       2        2

 Sp      3          1       3          2

 N1      1          3       3         3

 KK      3          2         3         2

 

評価の目安は以下のようになっています。

3点=たいへんよい   2点=よい   1点=まあまあ

 

ベストカーに関する問1

各車の総得点を計算する際、この自動車雑誌では以下のようなルールを使って、特定の評価項目に重みをつけています。

合計=(3×S)+F+E+T

自動車「Ca」の総得点を計算し、あなたの答えを下の空欄に記入してください。

 

ベストカーに関する問2

自動車「Ca」のpメーカーは、この総得点を出すルールは不公平だと考えました。

自動車「Ca」が優勝するような総得点の計算のルールを書いてください。

この新しいルールでは、四つある評価項目の全てが対象になります。下の等式の四つの空欄に正の数を記入し、新しいルールを作ってください。

 

総合得点=__ × S + __ × F + __ × E + __ × T

家庭で磨く「数学的リテラシ-」

数学的リテラシーの問題では、半分以上が図や表を見て考える問題が多いのですが、今回例に出した問題は数字だけで解ける問題ですね。

お子様が車好きなら喜んで取り組みそうな問題ですが、何もお題は車に限りません。

 

例えば「家事」。

 

「家のことはママがするのが当たり前」というご家庭でこそ、是非、縦軸の車種の代わりに「料理」「洗濯」「掃除」などの項目を、横軸に「重要性」「快適性」「かかる時間」などの項目を作り、家族で公式を作られてみてはいかがでしょうか? 「いかに家事が大変なことか」、また「全てをできない時に家族の総意としての優先順位はどうなのか」なども共有でき、数学的リテラシーとも相まって一石二鳥三鳥ですよ♪

家事に限らず、様々な分野で応用し、楽しんで数学的リテラシーをご家庭で高めてみて下さい。

 

次回は「科学的リテラシー」です。

Information/お知らせ

小学5、6年生とその親御様を対象にした「親子で算数カフェ」を4月よりシリーズで開催しています。

 

算数の成績を効率よく伸ばすには、ご家庭で学習する際の親御様のフォローが大変重要です。
「親子で算数カフェ」は、親子で参加して頂くことで、お子様の得点力を磨くだけでなく、親御様のフォロー力を強化することが目的です。
 

5月のテーマは「商売を攻略する」。

 

教え方次第で得点力が大きく変わる3つの入試頻出単元を取り上げ、「安浪メソッド」による攻略法を実践して頂きます。

 

 【日時】
5月27日(日)10~12時

 

 【会場】
こどもみらい塾(JR「恵比寿駅」東口より徒歩2分)
東京都渋谷区恵比寿1-13-8 第5伊藤ビル2F 
地図 http://www.kodomomirai.co.jp/access/

 

【料金】
1講座あたり5,000円(親子2名様のセット料金となります)

 

【対象】
小学5、6年生およびその親御様

 

【定員】
各回、5組(10名様)までとさせて頂きます。

 

【申し込み方法】
こちらのフォームにてお申し込み下さい。
また、メール(info@prestige-partner.com)やお電話(03-6805-1628、平日10時~18時のみ)でも受け付けております。


 

Mama's profile/プロフィール

安浪 京子

安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】

記事テーマ

子供の学力がどんどんUPする、魔法の基礎学力法

学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。

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