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中学受験事情~その①~/2012年2月

新学年スタート

3学期が始まり、幼稚園や小学校では卒園式・卒業式に向けた練習が始まります。でも、まもなく訪れる新学年に対する自覚はまだないのが実情・・というか、当たり前。春休みが終わって始業式に登校すると、ようやく一つお兄さん・お姉さんになったという意識が芽生えます。

 

ところが、もう新学年がスタートしている所があるのです。

それは――そう、中学受験を取り巻く、塾を代表とする業界。

新年度・新学年が4月に始まるという日本の風習をよそに、塾では2月から新学年がスタートします。

なぜ新学年が2月にスタートなのか?それは、中学入試の日程と関係があります。というのも、中学入試は地域にもよりますが、ほとんどが1月~2月に実施されるため、入試に照準を合わせるとカリキュラムは2月開始の1月終了で組まれることになるのです。

 

学校と、受験を見据えた塾ではそもそも学習内容がかなり異なりますが、すでに現4年生は5年生の内容、現5年生は6年生の内容に入っているのです。

中学受験は必要?

私は長い間中学受験業界に携わっていますが、自分自身は中学受験を経験していません。地方で生まれ育ったため、周囲も義務教育で提供される地元の公立中学に進み、初めて入試を経験したのは高校入試でした。私立と公立に対する考え方も、公立が本命で滑り止めが私立、というのが一般的でした。

 

そのため、大学で関西に行って初めて”小学生が受験勉強をする”という現象を知り、小学校時代のびのびと遊んで育った私に驚愕の事実でした。縁あって中学受験塾で算数を教えることになったのですが、大学のセンター試験に出てくる内容を小学生がスラスラ解いているのもカルチャーショックでした。

 

ただ、そこまで勉強しても東大に行けない子は行けないし、そこまで勉強しなくても東大に行く子は行く(もちろん東大が全てではありませんが、わかりやすい例えとして取り上げています)。

 

では、なぜ中学受験するのか?そもそも、中学受験は必要なのか?

これは非常に難しいテーマです。

結論からいえば、中学受験は「家庭の方針」としか言いようがありません。

なぜ中学受験するのか

かつて、中学受験は”お金持ちがする特殊な”ものでした。ところが、2002年の”ゆとり教育”の導入で公立中学校に不信感が広まり、一気に中学受験熱に火がつきました。現在は首都圏で5人に1人が、関西では10人に1人が中学受験しています。ちなみに、私立中学の数は全国で約600、そのうち首都圏に315校が集中しており、私立中学の数の少ない所は、公立進学がほとんどです。

 

では、なぜ中学受験をするのか。

本来、私学の最大の魅力は「各校独自の教育理念」があり、そこに向かって「独自のアプローチ法」があるという点です。しかし、実際は

1.大学進学実績

2.生徒指導

3.建学の精神・校風

4.親が私学出身

5.ある程度以上の環境

6.周囲が受験する

というのが、中学受験をするスタンダードな理由となっています。

大切なこと

少し視点を変えると、中学受験というのは教育産業にとって魅力的な市場です。親は子どもの教育には投資しますからね。

 

だから、

「今どき中学受験が当たり前ですよ」

「今すぐ始めないと間に合いませんよ」

と、教育産業が勧誘するのは当たり前です。

そこで右往左往して、なし崩しに受験勉強を始める前に

・なぜ中学受験するのか

・本当にわが子にとって必要なのか

を、まず親である皆さんがきちんと考え、納得いく理由を見つけて下さい。

 

親としての結論が出たら、次に親子で話し合って下さい。親が持っていきたい方向に誘導しても構いませんが、お子さんの心の声をきちんと聴いて汲み取ってあげる事が何より大切です。

 

私は、中学受験の最大のメリットは「小学校の一時期に真剣に勉強に取り組むことにより、人間として成長すること」だと思っています。そのため、「親子でコンセンサスが取れていない」「親が一方的に押し付けている」状況は、よほどお子さんが強いか、良い先生に巡り合わない限り、単にご家庭にとって辛い期間になるという例を沢山見てきました。

 

本来、人を伸ばすための教育が、大切なお子さんを潰すようなことにならないよう切に願います。

Mama's profile/プロフィール

安浪 京子

安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】

記事テーマ

子供の学力がどんどんUPする、魔法の基礎学力法

学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。

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