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カウンセラーが考えるお産10の心得/2014年11月

人は見通しが立たないと不安

【人は見通しがたたないと不安】になります。これは誰もがそうです。

「いつ終わるのか」「陣痛はどんな痛みなのか」というお産でよくある不安や疑問もすべて、見通しが立たないから起こるのです。

 

初産婦さんは特にそうでしょう。経産婦さんは、陣痛の痛さは前回のお産で、経験していても、やはり今回のお産が「いつ終わるのか」の見通しは立たず、不安でしょう。

ではどうすれば、いいのでしょうか?

 

第1回目の記事でお伝えした【発想の転換】をしましょう。

【人は見通しがたたないと不安】ということを逆にいうと、【人は見通しが立つと安心】します。

人は見通しが立つと安心

陣痛を例にあげて、どういう表現だと安心するか・不安になるかを考えてみましょう。

 

①よく陣痛の痛みを「鼻からスイカがでるくらい痛い」と世間ではいいますね。私はこの表現は逆に初産婦さんを不安にさせると感じています。

そもそも鼻からスイカをだすなんて、誰も経験したことがありません。そして、「小さな鼻の穴からすいかがでてくるなんて、そんなの無理だ」と思わせる表現ですね。

 

②「案ずるより産むが易し」ということわざもあります。確かにそうかもしれません。しかし、そのことわざを頭で何回言っても今抱えている不安な気持ちは消えないでしょう。

 

③「陣痛というのは子宮が収縮すること。それは生理痛と同じ仕組み。痛みの程度は違うけど、陣痛も生理痛も同じ子宮の収縮。」と言われるとどうですか?

生理痛は多くの女性が毎月感じています。それゆえ、身近にイメージでき、少し安心しませんか?

 

「確かにそうかも」と感じた方は、見通しが立ち安心したのです。

このことをもう少し掘り下げると、次の2点にまとめられます。

 

①陣痛の仕組みを【知識として習得】し、見通しが立った。

②ただ痛いと思っていた陣痛が、生理痛の痛みが増したものと【身近な体験から具体的に】見通しが立った。

工夫ポイント:お産をいかに見通しが立つようにするか

このようにお産のポイントは、【いかに見通しを立て、安心するか】ということです。

 

具体的には、

①知識の習得による見通し 

②身近な体験からイメージする具体的な見通し

を立てるため、お産について【事前学習等】が大事になります。

 

しかし、一般のママやパパがお産のすべてを学ぶのは無理です。

ではどうすればいいのでしょうか?

 

答えは【ポイントをしぼって学ぶ】ことです。

カウンセラーが考えるお産10の心得(前半)

心理の視点で考え、ポイントを厳選した「お産10の心得」をお伝えします。

 

①見通しをスタッフに聞く

 

たくさんの臨床例を知っている助産師等に、「何時くらいに産まれそうですか」等、率直にその都度聞くと、専門職の見通しを教えてもらえるでしょう。

 

②フィードバックをもらう

 

パパやスタッフからフィードバックをもらえるよう事前にお願いしておくといいでしょう。お産の進み具合、痛みの部位、水分補給、呼吸の仕方、いきみかた等様々なフィードバックをもらえると、安心し、主体的にお産にのぞめます。

 

③陣痛の仕組み(子宮の収縮)を知識として知っておく⇒陣痛は長くても50秒

 

陣痛の仕組みを知識として習得しておくと、無駄な不安を感じずにすみます。陣痛の痛みの程度は数値で把握できなくても、時間という身近なもので理解できると、見通しが立ち、うんと安心感が増します。

 

④息を「ふーっ」と吐き続ける

 

人間は、息を吐いたら、その後、勝手に息を吸います。「吸う」と「吐く」という二つの作業に集中するより、「吐く」という一つの作業に集中した方が、構造もシンプルになり、パニックもおこりにくい構造になります。そして、このやり方は、赤ちゃんに十分な酸素が行き、赤ちゃんも元気にお産に取り組めるという大きなメリットもあります。

 

⑤陣痛の痛みが増す=お産が進んでいる証拠

 

陣痛の痛みを身近なことに置き換えて理解することは難しいです。しかし、陣痛の痛みが増すという事象は、お産が進んでいるからこそ起きることです。この時も「痛い」とネガティブな面だけに注目するのではなく、【発想の転換】をして、「痛いけど、もうすぐ赤ちゃんに会える」「痛いけど、お産ももうすぐ終わる」というポジティブな面にも目を向けましょう。

カウンセラーが考えるお産10の心得(後半)

⑥陣痛発作時は、主体的に、頑張る。

 

最大50秒、常に息を吐き続けます。陣痛発作時、一番頑張っているのは赤ちゃん。だからママも逃げずに、主体的に、赤ちゃんに酸素を送り続けましょう。

 

⑦陣痛休憩時は、主体的に、休憩する。

 

休憩時は必ず【リラックスするホルモン】がでることを知識として、習得しておきましょう。ここでの休憩は、次の陣痛発作時に赤ちゃんもママも頑張るエネルギー補給の時間であるため、しっかり、主体的にリラックス・休憩しましょう。

 

⑧休憩時の質を高める工夫を行う。

 

休憩はどの赤ちゃん・ママにもきます。大事なことは、【休憩の質を高める工夫】を取るか否か。それによって、次の発作時に頑張るエネルギーに影響がでることを知識として習得しておきましょう。

産む施設で配布されるプリントに持参すると良いものとして上げられている、水分・アロマオイル・CD・横になって飲んでもこぼれないストローグッズなどは、休憩の質を高める意味合いがあります。自分がリラックスできないCDやアロマオイルを用意しても、それは休憩の質を高めません。

日頃から、自分はどのスポーツドリンクが好きか、どのCDやアロマオイルだとリラックスするかという点について【自覚的】でいることが大事です。

 

 

⑨陣痛発作時、自分の体の内側に意識を向ける。回旋というフィードバックをもらえる可能性大。

 

辛い時は、誰もが逃げたくなるもの。その時に、赤ちゃんのことを考えましょう。赤ちゃんは自分の体の中で今どうしてるのか等意識を向けましょう。感覚のいいママは、赤ちゃんの回旋をキャッチできます。それは、赤ちゃんからママへのフィードバックであり、応援でもあります。

 

⑩ママが痛い時は、赤ちゃんも辛い時&ママとパパに会いに来ようとしている時であることを忘れない。

 

ママが痛い時(ネガティブ)=赤ちゃんも辛い時(ネガティブ)=ママとパパに会いにこようとする時(ポジティブ)

確かにお産は痛さ・辛さというネガティブな面があります。しかし、ポジティブな面もあります。このことを、知識として知っておき、どういう捉え方をすると、自分が楽になれるか、主体的でいられるかということを考えましょう。

まとめ

カウンセラーの視点で、「お産10の心得」をお伝えしました。しかし、この全てを理解し取り入れる必要はありません。「これ、いいな」や「なるほど」と思った項目だけを、取り入れるだけでも十分です。

 

「いいな」「なるほど」と思ったその項目は、今のご自分にフィットしているから&ご自分のものにできる力があるからこそ取り入れようと思われたのです。

 

これらの心得を、ママ・パパ・赤ちゃん風にアレンジしていただいてもいいと思います。それこそ、【主体的に】自分のものにした証拠ですね。

 

<まとめ>

①人は見通しが立つと安心します。

②安心した時に、人は、いつもの自分の力を発揮できます。

③ママ・パパ・赤ちゃんらしく、安心し、主体的にお産に取り組んでください。

 

心から応援しています。

Mama's profile/プロフィール

ひらきだ ゆき

ひらきだ ゆき 【臨床心理士 精神保健福祉士】

記事テーマ

カウンセラー通信:自分らしい楽しいお産と子育てをしよう 

初めてのお産・子育てって不安ですよね?でも大丈夫。ママが主体的であれば、赤ちゃんも力を合わせママとお産を頑張ってくれます。初めての母子での共同作業のスタートが主体的であれば、その後の育児もとまどうことはあっても、そのママらしい力が発揮でき、赤ちゃんも自己発揮できます。そのお手伝いを、カウンセラーの視点から楽しく具体的にさせて頂きます!

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