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「寝る子は育つ」という言葉を、みなさんも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

それは「眠育」からの視点でも正しいと言えます。

子どもの脳や骨などの体の成長は、夜眠っている間に行われます。生まれたばかりの赤ちゃんはレム睡眠が多く、脳を発育させ意識を覚醒させる役割があります。これは赤ちゃんの大脳を大きく成熟させるために必要な眠りです。

また、成長期の子どもには「成長ホルモン」の分泌が深く関わってきます。睡眠の中でも、睡眠前半のノンレム睡眠の深い睡眠のときに「成長ホルモン」がたくさん分泌されています。

5歳以下の子どもは、脳をめざましく発達させるとても大事な成長段階にあります。脳を成長させるためには莫大なエネルギーが必要になり、たくさんの糖を使うことになります。子どもの脳が機能するためには基礎代謝エネルギーを40～85％も消費してしまうのです。すると、子どもは夜間眠っている間に低血糖に陥りやすくなる危険があるので、血糖を上げるために「成長ホルモン」を出して知能低下を防いでくれているのです。

また、「成長ホルモン」は筋肉やたんぱく質の合成をしたり骨の発育をするという、体の成長を促進する役割を持っています。

「寝る子は育つ」の言葉のとおり、夜の睡眠は子どもの心と体を育むためにとても大切なものです。たっぷり睡眠をとらせてあげて、子どものよりよい発達を促していきましょう。

では、具体的に赤ちゃんや子どもはどれぐらいの睡眠が必要なのでしょうか？ 

赤ちゃんや子どもが元気にすくすく育つためには、年齢に応じた適正睡眠時間を守ることが大切です。子どもの生活リズムを大人に合わせてしまうと、どうしても子どもの睡眠が短くなってしまい、睡眠不足に陥りがちです。

赤ちゃんや子どもの健やかな成長を育むためには、大人が考えているよりも睡眠時間は長いということをご理解ください。

年齢ごとの1日の適正睡眠時間をトータルで表わしてみました。（カッコ）内は、そのうちの昼寝時間となります。いかがですか？　お子さまの睡眠は足りていますか？

「ちょっと短いかな？」と思われる場合は、この時間に近づくように今日からご家族でサポートしてあげてくださいね。

  　 <　赤ちゃんと子どもの適正睡眠時間　>

・生後0～1ヵ月　　　　　16～18時間／日

・生後2～4ヵ月　　　　　15～17時間／日　（うち昼寝：4～4時間半）

・生後5～6ヵ月　　　　　12～13時間／日　（うち昼寝：3時間半）

・生後7～8ヵ月　　　　　11～13時間／日　（うち昼寝時間：3時間）

・生後9～11ヵ月 　　　　11～13時間／日　（うち昼寝時間：2時間半）

・1 ～ 2歳　　　　  　 　 11～13時間／日　（うち昼寝時間：2時間）

・3 ～ 6歳　　　　　   　 10～12時間／日　（4歳～昼寝は徐々になくなる）

「ママのための睡眠講座」を開催して、よくママからご質問を受けるのは「うちの子は睡眠が足りているんでしょうか？」ということ。

「睡眠の質が良くないかも・・・。」とご心配される方も多いです。

どうしたら、子どもの睡眠時間が足りているとか、質のいい睡眠をとれていることがわかるのでしょうか。

まず、日中の子どもの様子を観察してみてください。日中に過度な眠気がなく、ご機嫌で、元気に遊びや運動などの活動ができているかどうかをチェックします。

その状態なら、睡眠は足りていると言えるでしょう。

逆に、日中に理由もなく不機嫌だったり、日中の眠気が多くて昼寝をたくさんとらなければならない、元気がない、疲れているなど、ちょっと気になることが多いときは、夜の睡眠が足りない可能性があります。

そんな日には夜にたっぷりと睡眠をとらせて、次の日のお子さまの様子を観察してみてくださいね。

●参考文献

監修：上里一郎　編：白川修一郎(2006)『睡眠とメンタルヘルス』ゆまに書房

監修：堀忠雄・白川修一郎　編：日本睡眠改善協議会(2008)『基礎講座　睡眠改善学』ゆまに書房

伊藤裕(2015)『なんでもホルモン』朝日新書

林光男・宮崎総一郎・松浦倫子(2015)『睡眠習慣セルフチェックシート』