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赤ちゃんのビタミンDと鉄の不足が深刻!

栄養素 子どもの病気 教えて!ドクター

(2020年 秋号 掲載)

神様が母乳を設計した時代

人類の起源は約10万年前。母乳はその時代に設計されました(多分…)。この時代の人は、着るものもなく日光を浴びまくり。ビタミンDのほとんどは紫外線によって作られるので、体内のビタミンDも充分です。でも紫外線は有害なので、神様は日差しの強い地域に住む人々では皮膚のメラニンを増やして、過剰な紫外線を通さないようにしました。住んでいる地域の日差しと肌の色、紫外線で作られるビタミンDがちょうど釣り合うようにしたのです。これでビタミンDは充分になるので、神様はあえて母乳にビタミンDを入れることはしませんでした。

食べ物は主に肉と魚、たまに木の実。この時代、稲作はまだないのでコメもなし。離乳食は生後6か月から、お母さんが肉、魚をかみ砕いて赤ちゃんに食べさせる。だから鉄も充分。離乳食の前はお母さんのお腹にいるときの鉄の貯金で充分足りるはず、と神様は母乳に鉄も入れませんでした。

時代が変わった

ところが、人類の進歩は神様の想定外でした。衣服で体を覆い、日光を遮るようになりました。さらに産業革命の時代、奴隷や労働力として、アフリカやインドから肌の色の濃い人々がアメリカ、ヨーロッパに連れてこられました。彼らが住んでいた地域に比べて、これらの地域の日照は少なく、紫外線を通さない彼らの肌ではビタミンDを作ることができません。くる病が多発し、ビタミンD不足による感染症で多くの赤ちゃんが命を落としました。これはビタミンDを多く含む肝油を飲ませることで一旦は解決しました。日本でも昭和のある時期「肝油ドロップ」を小学生に配っていたことがあります。

しかし、今再び赤ちゃんのビタミンD不足がクローズアップされています。これは母乳で育つ赤ちゃんが増えたことと、女性が日光を浴びなくなったことに関連があります。

母乳栄養ではビタミンD、鉄が不足する

母乳栄養には大きな利点があります。感染症や肥満を予防し、愛着が育まれるなどですが、欠点は鉄とビタミンDが足りないことです。

鉄に関して、ほぼ完全母乳栄養の生後10か月前後の赤ちゃんで、鉄の充足状態を調べたことがあります。実に4分の3の赤ちゃんが鉄欠乏に陥っていました。ひどい鉄欠乏は神経発達にも悪影響がありますので、離乳食では鉄分の多い赤身の魚や肉を積極的に摂るようにしましょう。

赤ちゃんのビタミンD不足が続くと骨が弱くなります。立って歩き始めると全体重が足にかかり、骨が曲がってO脚になることがあります。ビタミンDには骨以外の作用もあり、不足すると感染症にかかりやすい、肥満やアレルギー、がんや糖尿病を発症しやすくなるともいわれます。充分な日光浴でビタミンDは供給できるのですが、それでも日本の多くの地域では秋~冬には日差しが弱くなり、ビタミンDが不足します。北東北では母乳栄養の赤ちゃんの9割はビタミンD不足に陥っていて、6割はくる病をきたしかねない状態でした。この状態でも骨の変形や骨折が多発していないのは、母乳栄養の赤ちゃんではカルシウムを比較的充分にとっていることと、赤ちゃんの時期には骨を溶かすホルモンの作用が弱いことによります。年齢が長じてこのバランスが崩れると、骨の症状をきたしかねません。高緯度地域(北緯33度以上。日本では熊本以北のほとんどの地域が該当します)に住む、あるいは日光を避けている母乳栄養の赤ちゃんでは、予防のためにビタミンD一日400単位( サプリメント「ベビーD」として2滴)を1歳まで補充する必要があります。

日光浴は?

米国では日光が皮膚がんを起こす可能性があることから日光を避けるように指導していますが、その一方でビタミンD摂取も勧めています。欧米とは肌の色が異なる日本では、日光浴の功罪についてはさらなる検討が必要です。しかし、もし積極的に日光を避けるのであれば、同時にビタミンDの摂取も必須と考えられます。

 

冨本和彦先生

とみもと小児科クリニック(青森県八戸市)院長。弘前大学医学部卒業。医学博士。青森労災病院小児科部長を経て、2001年に、とみもと小児科クリニックを開設。日本外来小児科学会学会誌編集委員、日本外来小児科学会リサーチ委員。

冨本和彦

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