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こどものビタミンDに関する最新のエビデンス

栄養素 子どもの病気 教えて!ドクター

(2024年 冬号 掲載)

子どもにサプリをあげた方が良いのでしょうか?

最近、こんな質問を親御さんから受けることが多くなりました。ネット通販、ドラッグストアでも子ども・親子というワードが表示された商品を多数見かけます。少しでもお子さんの健康、発達に効果があるのであれば買ってあげたいと思うのも当然と思います。乳酸菌、マルチビタミン、カルシウムなど大人用に売られているものをラムネやグミにして販売されているものが多いです。特にネット販売などで人気なのが成長サプリメントを呼ばれる身長を伸ばすことを目的にしたものです。

食品表示法でサプリの効能を誇大表示することはできませんが、子どもの成長にいかにも必須であるかのようなネーミングが散見されます。少なくともDHAサプリで学力が向上する、亜鉛、カルシウムのサプリで背が伸びるという医学的な証明はなされていません。

これらの成分は偏食が強くなければ容易に欠乏することはありません。しかし欠乏すると様々な疾患の原因になります。沢山摂取するほど元気になることはないので、おやつ感覚であげて頂くのが良いと思います。

ビタミンDとは

最近、話題なのがビタミンDのサプリです。シロップで乳児でも摂取しやすいようなものも発売されています。ビタミンDは骨の成長と免疫力の維持に必要なビタミンです。ビタミンDは、摂取するか、紫外線を浴びることで合成されます。ミルクに比べて母乳ではその含有量は少なく、また近年は皮膚疾患と美容の観点から紫外線を避ける傾向があり、ビタミンD不足が懸念されています。

5,000名の健康な人を対象とした研究で90%以上の成人でビタミンDの血液中の濃度が低いことが報告されています。現代社会はビタミンDが体内から低下しやすい環境のようです。

子どもにビタミンDを与えると
なにか良いことはありますか?

ビタミンDは骨の成長に必須です。ビタミンDが欠乏すると、くる病を発症する可能性があります。くる病は足の形が変形したり、身長が伸びない原因になります。また血中のカルシウムが低下してけいれん、イラつきの原因にもなります。

またマクロファージという免疫細胞を活性化してカゼに対する抵抗力を向上させます。最近は一部の大腸がん、肺がんの発症リスクを低下させる傾向があることも国立がんセンターのコホート研究で明らかになりました。 また食物アレルギーなどに関しても発症を抑える可能性が報告されています。お母さんが妊娠中から摂取することが有効という報告もされています。

なぜビタミンDがこれらに有効なのか不明な点が多いですが、様々な研究が現在も行われており、近いうちに詳細なメカニズムが明らかになるかもしれません。

子どもにどのくらいあげたら良いでしょうか?

サプリで表示された投与量を参考にしましょう。ビタミンDは脂溶性のため過剰に摂取すると体内に蓄積し、高カルシウム血症による結石症、腎障害が出現する可能性があります。子ども用のサプリは味が良く、子どもも喜んで摂取するので、欲しいだけあげてはいけません。耐用上限量は厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020年版にも示されています。過度な投与を行わなければ心配ないですがご注意してください。

 

浦島崇先生

総合母子保健センター愛育病院副院長兼小児科部長。うらちるクリニック(東京都港区)院長。東京慈恵会医科大学卒業。慈恵医大、米国スタンフォード大学で勤務。剣道6段、フルマラソン10回完走。日本小児科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本循環器学会専門医など。

浦島崇

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