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急性中耳炎と滲出性(しんしゅつせい)中耳炎

耳鼻咽喉 子どもの病気 教えて!ドクター

(2010年 冬号 掲載)

治りにくい乳幼児の中耳炎が増えています

中耳炎には急性中耳炎と滲出性中耳炎とがあります。1歳のお誕生日までに半数近くの乳幼児が、3歳までだと7割近い子どもが一度は急性中耳炎にかかると考えられています。ほとんどは軽い中耳炎で自然に治っていることが多いのですが、なかには中耳炎を繰り返したり、治りにくい滲出性中耳炎になったりする子ども達がいます。

どうして子どもは急性中耳炎になりやすい?

急性中耳炎は、鼻の奥(鼻咽腔)に付着した細菌が、耳管という耳と鼻の奥をつないでいる管を通って、鼓膜の中(中耳腔)に感染することで起こります。乳幼児では、耳管が太く、短いため、鼻水やミルクと一緒に細菌が簡単に鼓膜の中に入ってしまいます。子どもの鼻の奥には、中耳炎の原因となる細菌が多いため、風邪などのウイルス感染のあとに細菌が増殖して急性中耳炎を起こします。また、生後6ヵ月から2歳までは免疫力も低く、抵抗力が弱いために、中耳炎などの感染症を起こしやすい年齢といえます。

乳幼児の急性中耳炎の特徴は?

普通は何日か前から鼻がつまったり、鼻水が出ていたりという「鼻かぜ」の症状があることが多いのですが、急に何の前触れもなく耳が痛くなることもあります。幼い子ども達は自分で耳が痛いとは言えませんから、耳の周りをしきりに触ったり、機嫌が悪かったり、時にはお腹が痛いという表現をすることもあります。原因の分からない熱だけが出ていて、気がつくと耳の穴から汁(耳漏)が流れ出てきたため、あとから中耳炎になっていたことが分かる場合もあります。

乳幼児期に急性中耳炎になると、その後も中耳炎を繰り返しやすくなるので注意しなくてはいけません。

急性中耳炎になったらどうすれば良いでしょう?

耳を痛がったり、熱が出たりしている場合にはアセトアミノフェンやイブプロフェンといった解熱鎮痛作用のある座薬や飲み薬を使います。夜間に急に耳を痛がった場合などは、家庭の常備薬として「熱冷まし」が置いてあれば、それを使って様子を見てあげるのが良いでしょう。

それでも、39度以上の熱が続いたり、痛みが強くて、ぐったりとして元気がなかったり、耳の裏側が腫れて赤くなっているような場合には、救急で診察を受けることが必要です。

翌朝になって耳の痛みが無くなっていても受診しておきましょう。耳鼻咽喉科では鼓膜の所見や全身状態を診て、抗生物質を使ったり、中耳腔に溜まった膿を取り除くために鼓膜切開という治療を行ったりします。

滲出性中耳炎というのはどんな中耳炎ですか?

滲出性中耳炎は急性中耳炎の後に中耳腔に液体が溜まったままになった状態です。滲出性中耳炎では痛みはなく、耳漏も出ません。聞こえが悪くなりますが、程度は軽いことが多く、小児では自分で症状を訴えることはありません。呼びかけても振り返らない、テレビの音が大きい、言葉の発達が遅いなどで気づかれることがあります。

就学時までにほとんどの滲出性中耳炎は治りますが、乳幼児期から続くような中耳炎は慢性化して治りが悪い場合があります。保育園などで集団保育を受けていると、カゼのウイルスや細菌感染を何度も繰り返して、急性中耳炎になりやすく、また滲出性中耳炎も治りにくくなります。

滲出性中耳炎の治療や予防法は?

鼓膜切開を繰り返しても再発する慢性の滲出性中耳炎では、鼓膜を切開した後に小さなチューブを入れておく治療が行われます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド増殖症などが原因となっている場合には鼻やのどの治療も必要です。中耳炎にならないようにするためには、カゼに伴う鼻づまりや鼻水が出ている場合に、早めに受診してきちんと治療していただくのが良いでしょう。

笠井創(はじむ)先生

笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室(東京都目黒区)院長。千葉大学医学部卒。医学博士。国保君津中央病院・耳鼻咽喉科医長、国立がんセンター病院・頭頚部外科医、横須賀共済病院・耳鼻咽喉科医長を経て平成2年にクリニックを開設。最新レーザーやラジオ波凝固治療を取り入れた治療を行なっている。

笠井創(はじむ)

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