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予防接種の陽と陰

ポリオ 予防接種 教えて!ドクター

(2011年 秋号 掲載)

予防接種で感染症から守る

予防接種は、人々を感染症から守るもっとも重要な予防法です。抗菌薬(抗生物質)や抗ウイルス薬が使える現代でも、予防接種の重要性は変わりません。病気にかかるより、かからない方が、よりリスクは少なくなるからです。

医療は通常病気になった人に行いますが、予防接種は多くの場合は健康な人に行う医療行為になるので、効果が高く、確実に安全であることが求められます。

しかし人間の体は誰ひとり同じものはない複雑な構造で、生体に異物(ワクチン)を投与する、つまり予防接種をすることによって、正常な生体の反応を超えた、予期できない、あるいは極めて稀な異常反応が出現し、重大な健康被害が生じることが、残念ながらゼロではありません。

ワクチンの種類によって異なりますが、あるワクチンでは数百万回接種に1回ほど入院するくらいの異常反応が出現することがあり、1千万接種の単位で考えると、中には生命にかかわることがあるのも事実です。予防接種の持つリスクの部分です。

予防接種の効果
(予防接種の陽の部分)

予防接種は、個人が病気にかからない、つまりそれぞれの健康を守ることがもっとも重要な目的で、目に見えない大きい効果が生じます。個人を守ることによって次の世代の健康をも守ろうとするものもあります。

風疹はほとんどが熱と発疹程度の軽い病気ですが、妊娠の早い段階で風疹にかかるとおなかの赤ちゃんに異常が現れる(先天性風疹症候群:心臓・眼・聴力・発育などの障害)ことがあり、これを防ぐために多くの人が風疹のワクチンをあらかじめ受けておきます。風疹の全体の数を減らし、男性から女性に感染する危険性も防ぐために、男女の区別なく風疹ワクチンは行われます。

多くの人が免疫を持つとその病気は少なくなってくるので、予防接種を受けていなかった少数の人にも感染の危険性が少なくなり、守られることになります。予防接種を受けられない人、受け損ねていた人、受けなかった人も、予防接種を受けた人によって守られていることになります。

予防接種は、自分だけではなく見知らぬ人の感染も、いつの間にか防ぐ優しさを持っています。

予防接種が病気を追放する!?

予防接種によって、やがてその病気を人類から追放しようとするものもあります。

人類が長い間悩まされてきた天然痘(痘瘡)は、人類が初めて手にした天然痘ワクチン(種痘:vaccination ワクチンという言葉は種痘 vaccine が語源になっています)によって、世界中からの根絶を達成しています。ポリオの根絶計画(polio eradication)、麻疹の排除計画(measles elimination)に、ワクチンは欠かせない手段です。

10年前に日本では年間20万人~30万人の麻疹が発生し、100人ほどの方が肺炎や脳炎などを合併して亡くなったと推計されています。麻疹患者約10万人に1人と少数ですが、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という致死的な病気も数人発生していたことになります。

最近では多くの人が麻疹ワクチン(そして風疹の混合MRワクチン)を受けるようになり、2010年は全国で450人ほどの発生に留まり、それによって日本では麻疹で亡くなる方は6年に1人、SSPEは200年に1人しか発生しないことになりました。

また自国にその疾患がなくても他国からの持ち込みへの警戒のためにワクチン接種を続ける場合もあります。

日本も加盟し多くのアジアの国々が含まれるWHO西太平洋地域や、南北アメリカ大陸地域ではポリオという病気はすでに根絶された状態にありますが、世界にはまだポリオは存在するため、ポリオワクチンは依然としてすべての子どもたちにとって必要なワクチンとなっています。

一旦ポリオ根絶を達成したものの、その後ポリオワクチンの接種率が低下したタジキスタンでは2010年、海外よりポリオウイルスが侵入し、その結果27例の死亡を含む458例のポリオが発生してしまいました。緊急的な生ポリオワクチンの一斉投与の繰り返しによって、2011年の発生は抑えられています。

また、アフリカなどにみられる黄熱などのように、自国に存在する感染症の予防のために、入国者にあらかじめ黄熱ワクチン接種を求めるものもあります。

予防接種は、個人レベルでの予防がもっとも大切であることは言うまでもありませんが、地域レベル、国レベル、国際レベルで必要であるとされることもあります。

予防接種の副反応
(予防接種の陰の部分)

予防接種をすることによって、少し熱っぽくなったり、注射をしたところが腫れたり赤くなったり、痛みがあったりすることは、数%くらいに見られます。生体がある意味では正常に反応しているので、何もしないで回復します。

しかし、正常な生体の反応を超えた、予期できない、あるいは極めて稀な異常反応が出現し、重大な健康被害が生じることが残念ながらゼロではありません。
そのために、ワクチンの製造から保存、実際の接種の方法に至るまで、細かな取り決めがあり、できるだけの安全性を確保するための努力が続けられています。しかし事故が起きてしまうことがあります。

予防接種で事故が起きた場合の救済制度

万一の重大な事故が生じた際には、それが予防接種に原因があるとする可能性が強く考えられるものであれば、被害を受けた方には救済(死亡見舞金、医療費負担、障害年金など)を行うという制度がわが国にはあります。定期接種の場合には金額的には世界的にかなり高額な水準となっています。

しかし実際にはその事故が予防接種をしたからということが明らかであることばかりではなく、他の病気の発生の偶然の重なりであったり、予防接種後〇時間後あるいは〇日後に発生したという時間以外に因果関係に説明のつかないものもあります。
あいまいながらも、その他の原因が見当たらず、医学的に「そうである可能性が医学的に考えられ、そうではないということが医学的に言い切れない」ような場合には救済の対象となっています。

これらの予防接種による健康被害の救済対象となった状況(主として入院する程度以上のもの)は、DPT三種混合ワクチン100万接種あたり1、同じく日本脳炎1、インフルエンザ0.8、麻疹5くらいとなっています。
なお、最近話題になっているポリオ生ワクチンによる麻痺の発生は、生ポリオワクチン200万接種あたり1例くらいというのが最近の状況として報告されています。これは予防接種のもつ陰の部分ともいえます。

ポリオワクチン

ポリオはかつては日本でも年間5000人以上の麻痺患者が発生しましたが、ポリオ生ワクチン(OPV)によって、発生ゼロとなり、この30年間日本ではポリオの患者さんの発生はありません。多くの人々がポリオの麻痺から未然に救われていることになります。ワクチンの陽の部分です。そして一旦手を緩めると、海外で実際に生じたようにポリオという病気が突然流行することがあります。

一方、OPVを200万回投与することによって、ワクチンによる副反応である麻痺が生じることがあります。

日本では、0歳児全員にOPVを投与すると3年に2例くらいの麻痺が発生することになります。予防接種の陰の部分です。
このOPVの欠点をカバーするのが、不活化ポリオワクチン(IPV)です。

飲むワクチンから注射をするワクチンとなってしまい、免疫の力もOPVよりやや劣るのですが、ワクチンによるまれな麻痺の出現はIPVの場合は確実にゼロとなります。

我が国でも現在このワクチンの一日も早い早期導入が待たれているところですが、それまでポリオのワクチン接種を見合わせておく、ということは自然のポリオに対して隙を与えることになるので、良い選択とはいえません。

予防接種は、「大多数が感染症から守られるのだからごく少数の被害は止むを得ない」、としてしまう考え方も極端である一方、「ごくまれであっても重大な健康被害が発生する可能性がある以上ワクチンは危険・不要である」、という意見もまた極端であると思います。

予防接種は、輝かしい陽の大きい部分がある一方、悲惨な陰の部分があることから目をそらすわけにはいかず、常に陽の部分(ベネフィット)と、陰の部分(リスク)のバランスをはかりながら、行っていく必要があると思います。

岡部信彦先生

慈恵医大卒業。神奈川県立厚木病院小児科、都立北療育園小児科、バンダービルト大学小児感染科、国立小児病院感染科、神奈川県衛生看護専門学校付属病院小児科、WHO伝染性疾患予防対策課、慈恵医大小児科助教授などを経て、現在、国立感染症研究所感染症情報センター長。

岡部信彦

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