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Animal WelfareとFive Freedom/2013年11月

Animal Welfareとは

他の病気と同様に、問題行動は治療するより、予防するほうがずっと簡単です。

問題行動の予防にも直結するのが、実際に動物飼育を開始したとき、

飼い主として(人間として)守らなくてはいけないのがAnimal Welfareです。

Animal Welfareは、

(1)動物の状態を生理学的・行動学的・健康上の指標を用いて量的にあらわすWelfare Science、

(2)動物に対する人間の行動、たとえば動物の取り扱いや治療法が道徳的かどうかを判断するWelfare Ethics、

(3)動物の利用方法や管理方法が法律に従っているかどうかを判断するWelfare Legislation

の3つの視点で総合的に判断されます。

Five Freedom

動物福祉を論じるときによく用いられるFive Freedomは、生産動物(牛、豚、鶏などの家畜)を扱うイギリスの協会Farm Animal Welfare Councilが1993年に採択したものですが、現在は生産動物にとどまらず、すべての動物のAnimal Welfareを考える時の指標とされています。

犬と猫のFive Freedomとは、

(1)正しい食餌管理と新鮮な水の保障(飢えと渇きからの解放・自由)

(2)清潔で、心地よい住環境の保障(身体的または熱など不快感からの解放・自由)

(3)疾病予防、早期発見・治療の機会の保障(痛み、傷害、病気からの解放・自由)

(4)恐怖や精神的苦痛を与えられない保障(恐怖と絶望からの解放・自由)

(5)犬や猫がもつ生来的行動をとることの保障(正常な行動を示す自由)

となります。

Five Freedomに不足があると

Five Freedomに不足がある動物は問題行動を起こしやすいです。

具体的な例をあげてみます。

 

子どもが生まれて忙しいあまり、ペットの食餌の時間が不規則になってしまったために、お腹がすいたペットは要求吠えをするようになり、近所から苦情が来てしまった。

 

犬のペットシーツの交換や、猫のトイレの掃除がおろそかになってしまったために、本来のトイレ以外で排泄するようになってしまった。

ケージやペット専用ベッドに子どもが侵入してきたり、眠っているところをたたきおこされたりしてしまう。いらいらするあまり、子どもを咬んだりひっかいたりするようになってしまった。

 

1年に1回の予防接種がおろそかになってしまったり、耳や皮膚を痒がっているのに動物病院に連れて行くのが遅くなってしまった。身体的不調からか、無駄吠えが増えてしまった。

 

やんちゃ盛りの子どもに脅かされる日々にストレスがたまり、自分で自分の毛をむしってしまうようになった。

Animal Welfareと問題行動の関連性

Animal Welfareが守られた飼い方に変更するだけで問題行動が改善する例が多いし、Animal Welfareが欠けたまま問題行動治療に取り組んでも望ましい改善を期待できない例も多いのです。

ペットを飼い始めた後に環境が変わるのは仕方のないことですが、Five Freedomを意識した飼育をすることで、問題行動の予防につながり、お互いに心地よく暮らせると思います。

 

参考文献:「犬と猫の行動学 基礎から臨床へ」 内田佳子・菊水健史 著、学窓社、2008年

Mama's profile/プロフィール

小田 寿美子

小田 寿美子 ー獣医師ー

記事テーマ

子どもとペットのいる暮らし

犬猫をはじめ、うさぎやハムスター、小鳥など、家族の一員として、また子どもの情操教育のために、ペットは日本の家庭にも欠かせない存在になってきています。ペットのいる暮らしに関するさまざまな疑問、メリットやデメリットについて、専門的な立場から連載していきます。ペットの問題行動カウンセラーとしても活躍する、筆者ならではの多彩な視点から述べます。

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