離婚するしない、または離婚すると決まり子どもの親権や財産分与などの話し合いをする際は、誰しも自分の正当性を主張し、自分の利益を守るために相手と競合的になりやすいものです。互いにゆずらず、夫婦間の話し合いでは収束がつかない場合、弁護士を立てたり、調停を行ったり、最悪裁判にまでもつれることもあります。夫婦の離婚問題について様々なケースを見聞きする中で感じることは、弁護士や調停員といった第三者が介入することにより夫婦間の直接的なやりとりが妨げられ、自分の気持ちとは別に話がどんどん進み、事務的に片付けられ、気づけばお互いが傷つき傷つけ合って離婚が成立し、結果、離婚後の元夫婦間の関係性が断たれてしまうケースが多いということです。夫婦二人の問題であればそれも二人の人生と割り切ることができますが、そこに子どもが存在する場合は大人の身勝手な都合でしかありません。離婚をするのであれば適切な離婚の仕方というものがあります。夫婦二人、もしくは信頼できる第三者を交え、夫婦双方が納得し、子どもたちの負担をいかに最小限にできるかについてどれだけ話し合いを重ねることができたかで、離婚後のママパパ、そして子どもたちの未来が決まります。
離婚の話し合いの際に最も大切なことは、「私は正しい、あなたは間違っている」という競合的な考え方をまず捨てることです。競合的なやり取りは権力争いとなり、権力争いからは何も生まれません。まずは自分から争いのステージを降りること、相手が攻撃を続けてきても同じ土俵に乗らないこと、ヒートアップしそうなときはその場から離れて時間を置くことがポイントです。そして、信頼のおける友人や、専門のカウンセラーなどへ話を聴いてもらい、自身の状況と感情の整理を行いましょう。ただ話を聴いてもらうだけでも心の負担は軽減されます。そして自分の感情がコントロールできるまで落ち着いた後は、相手と自分は別の存在と認め、過去のいざこざや負の感情は一度脇へ置き、互いの主張を希望に変換して出し合うこと、その希望をすり合わせていく作業を丁寧に行っていくことが大切です。
今回は、離婚後の選択肢として「共同養育」を行っていく際に大切な根幹となる「争いは捨てよう」をテーマに、離婚協議の積み重ねや争わずに話し合いを進めるポイントについてお話ししました。結婚生活を送る中で、時には離婚の文字が頭をよぎることもあるでしょう。そして離婚という結論を出す場合もあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、これからの家族としての関わり方について少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
《参考資料》共同養育のススメ/離れてもずっと親子(一般社団法人りむすび発行)
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。