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【しつけに迷う時、どうしたらいいの?】/2012年1月

迷った時にはコミュニケーション

子どもとの暮らしの中で、「しつけ」は大きな関心事。保護者の価値観だけでなくインターネット、TV、育児雑誌や本などでいわれていること、親戚、近所の目などさまざまな意見・情報の中で迷うこともありますよね。

今回は、迷った時に役立つコミュニケーションをお伝えします。

正しいのは誰?

育児相談を受けていると、二つの考えで葛藤しているケースがよくあります。たとえば「食事は楽しく食べたい」と「食事のマナーをちゃんと教えたい」。夫婦間や祖父母とのあいだで対立していることもありますね。こんな時、どうしていますか?

 

対立が起きている時「正しい方法」を選ぼうとすると、採用されなかったほうは「間違っている」ことになってしまいます。誰しも自分の主張が間違っているのはイヤなので、お互い正しさを証明しようと躍起になってしまう。これでは答えが永遠に出ません。1人のココロの中の葛藤だとしても、どちらも正しい部分と不安なところがあり、正しいという基準では選べないのです。

 

ここで、どちらの方法も「間違っているわけではない」と仮定してみてください。注目したいのは、それぞれの方法が「何を大切にしているか」なのです。

実例で考えてみましょう。

しつけたいことの意味を考える

例えば、食事中に肘をつくのはなぜいけないのでしょう?「行儀が悪いから」。

では、なぜ食事中に肘をつくと行儀が悪いのでしょう?「マナーで決まっているから」

そのマナーはどうしてそう決まったのでしょう?「…姿勢が悪くてみっともないから」

 

というように、その理由を考えてみるのです。どうしてどうして?と繰り返す子どもみたいに自分に問いかけていってみてくださいね。「どうしても!」と答えたくなるのをじっとこらえて理由を探しにいきます。

 

みっともないのは、誰から見たときでしょう?「自分自身が、美しくすっきりと存在したい」「同席する人から見て、さわやかな印象を与えたい」という二方向の答があるかもしれません。ほかにも「姿勢よく食べたほうが消化によい」「食べ物に対して真摯に向き合うことを伝えたい」などなど、肘をつかないで食べることの意味、考えてみるといろいろな視点がありそうです。

大切にするものは人によって違っていい

価値観・倫理観・常識といったものは、時代によって、人によって、また同じ人でも経験によって変わっていくものです。しつけに迷ったら「今、私が大切にしたいもの」をシンプルに考えてみてください。しつけたいその内容について、どんな理由があって、自分にとってどのくらい大切なのでしょう。それを真剣に伝えてみるのです。

 

他の人の意見についても同様です。夫がこだわるそのしつけについて、彼にはどんな思いがあるのでしょう。祖父母はそうすることで、何を求めているのでしょう。想像したり、実際に聞いてみてもいいですね。自分自身にも、関係者にも、コミュニケーションをとってみてください。その際のコツは「大切にしたいものは何か、好奇心を持って尊重しながら聴く」ことです。どっちが正しいかの競争に巻き込まれないように!

 

それぞれの人が何を大切にしたいのか、がわかったら、その意味や、大切にしたいこと、それにまつわる気持ちまで、子どもに伝えてみるのです。

父「肘をついて食べると、お父さんは恰好悪いと思う。しゃきっとしてご飯食べよう」

母「あ、姿勢よく食べていると、食べ物を大切に食べている感じがして、嬉しい。いつもそうして食べてくれるといいなあ」

祖母「私は、食事中にガミガミ聞いていると楽しくなくなっちゃうの。静かに注意して、●●ちゃんが直すとみんながニコニコしてるのは居心地がいいね」

といった具合に。

 

これが、相手を責める対立のパターンだとどうなるでしょうか。

父「何べん言ったらわかるんだ!食事中に肘をつくんじゃない!(子どもが悪い)お父さんがいないときに誰も注意しないのか!?(母親が悪い)」

母「私だっていつも言ってるわよ。(私は正しい)でも直さないんだから。(子どもが悪い。いつもいない父親が悪い)」

祖母「まあいいじゃないの、食事は楽しく食べるものよ。うるさいねえ(父親が悪い)」

父「やめてくれ、おばあちゃんがそうやって甘やかすから●●が図に乗るんだ!(祖母が悪い)」

 

大げさに書いてみましたが、こんな食卓は、イヤですね。でも、ドラマなどで見たことのある風景です。多くの人に思い当たる普遍的な要素があるのではないでしょうか。

正しい・間違いのしつけの落とし穴

大人同士の対立だけでなく、子どもにとっての影響はどうでしょう。

しつけを正しい・間違いの軸ですると、そこから外れたときに「間違ってるからやめなさい」という言い方になってしまいます。私は正しくてあなたが間違っている、私は正解を知っていてあなたは知らない、という立場です。そうすると子どもは、どうなるでしょう?子育ては単純な化学反応ではないのでこうするとどうなる、と一概にいえるものではありませんが、あえて陥る危険性について考えてみます。

 

正しい・間違いのしつけに順応する子どもは「この場合、何が正しいんだろう?」を一生懸命探すようになります。これが行きすぎると人の反応が気になり、指示が細かいほど安心できるようになります。外に正解を求め、自分からは動かず、考えず、足並みをそろえて、はみ出さないように偉い人の意に沿うように動く。間違っている人を非難する。

度合の差こそあれ、反射的に「正解」を探すメンタリティはいまの大人の中に育っていると思います。私たちには、理由を聞かされずに正しいルールを守るようにしつけられた経験があるからです。

 

また順応しなかった場合は?世間の正解に同意できないときには、アウトローとして疎外感の中で開き直るか、落伍者として自信をなくしていくというパターンがあります。そんな人は身近にいなかったでしょうか。

自分の考えがない(あるいは言えない)か、自分の考えだけを死守して交わらないか、自己肯定感を持てずに生きていくか…。

どの道にも、子どもたちが自立して社会の中で幸せになることを阻む、落とし穴がありそうです。

大切にしたいものは伝わる

では、正しい・間違いの物差しを捨てて何を基準にしていけばよいのでしょう?

しつけで迷う時、大人の間で意見が食い違う時は、自分たちが「何を大切にしたいのか」を改めて考えるチャンスです。お母さんは、このことを大切に思ってる。お父さんはこういう価値観を持っている。それを本気で伝えていくとき、子どもたちはその中で自分自身の価値観を培っていくのではないでしょうか。

 

子どもたちが生きていく時代は、私たちが育った時代とは違います。私たちがうまくいった方法も、うまくいくとは限りません。子どもたちがそれぞれの状況で生きていくのに必要なことは、私たちの経験則とは違うもの。子どもたち自身が経験の中で獲得していくべきものなのです。

 

さらに、自分と違う価値観について想像でき共感できること、お互いの大切にしたいものを尊重しあいながら共通のルールを作っていくことができたら、多くの人と協力し良好な関係を築く力となります。それは、多様化や国際化がいっそう進むこれからの社会で必要な力ではないでしょうか。想像力と共感力、そして尊重しあう調整力は差別のない社会にしていく力でもありますね。

 

まずは小さな社会単位である、家庭でのコミュニケーションに大人が取り組んでみませんか?

お母さんは、これを大切にしているの。あなたには、こういうことを大切にしてほしいの。お父さんは?そしてあなたはどう思う?成長に従って子ども本人の「大切なもの」について聞くことができるでしょう。一緒に家族のルール作りができたり、そのルールを変えていくこともできたらいいですね。家庭が小さな社会として機能していれば、さらに広いところへ出ていく準備ができます。やがて社会を創り、変えていく大人になっていくでしょう。

 

きっと、親自身が納得していて本当に大切にしたいことは、方法としてではなく本質がちゃんと伝わっていきますよ。意味もわからないルールに従わせるのは「押し付け」であって「しつけ」ではないのです。「今言うことをきかせること」を目的とせず、「いずれ大切なことが伝わること」をゴールに目指したいですね。

大切なものを手渡す子育て、楽しんで試行錯誤してみましょう!

Information/お知らせ

ここでお伝えしている「大切にしたいこと」を聴く聴き方:ブライト・リスニングの体験会を行っています。

詳しくはHPからどうぞ!

http://www.tangerine-labo.com/

 

ブライト・コミュニケーションの実践や、二人の子どもと夫のドタバタ再婚生活のこと、晩ごはんのメニューなどブログに書いています!遊びに来てください!

高橋ライチブログ

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成長を続ける女性のためのコミュニティ【こぶたラボ】では

子連れで参加できる企画をいろいろ開催しています。

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Mama's profile/プロフィール

高橋 ライチ

高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】

記事テーマ

「ココロを育てる 聴き方・伝え方♪」

子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。

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