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赤ちゃんから始めたい紫外線対策

皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター

(2007年 夏号 掲載)

日焼けは健康のシンボル、ではない

野外でこんがり日焼けした子どもたちを見ると、いかにも健康そうに思われたものですが、1960年頃から紫外線の有害性が次々と証明され、日焼けが体によくないことがわかりました。

ヒトの皮膚に紫外線A、Bを当てると遺伝子DNAに傷がつきます。普通、遺伝子の傷は2日ほどで修復されますが、あまりに強い紫外線を浴びると修復が追いつかず、DNAの傷が不適切に処理され、突然変異が起こりやすくなります。それらが将来のシミや皮膚ガンの発生につながるというわけです。

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紫外線対策は早いほうがいい

「シミは紫外線が原因」と聞くと、お母さんたちの関心は高まるでしょうが、気をつけてほしいのは幼い子どもたち。細胞の突然変異は、細胞分裂が盛んなほど起こりやすく、つまり子どもにこそ危ないのです。

オーストラリアやアメリカなどでは国をあげて紫外線対策を実施し、オーストラリアにいたっては日焼け止めを塗らないとプールに入れないなど、紫外線の悪影響について子どもの頃から徹底して教えています。

さて、日本はどうでしょうか。母子健康手帳から「日光浴」という言葉が消え、「外気浴」に変わったのは約10年前ですが、幼稚園、学童期以降の紫外線対策は、保護者の判断や学校の方針にゆだねられているのが実態です。なかには日焼け止めを塗っていくと、”子どもが化粧品を使うのはけしからん“と叱られた話も…。積極的な紫外線対策が望まれます。

紫外線を避けるポイントとは

気温の高い8月と同じように6〜7月にも強い紫外線が届いています。時間帯は午前10時〜午後2時、特に正午前後がピークです。薄曇では快晴の80%、雨天でも20%の紫外線が地表に届いています。外出の際は紫外線を吸収する効果が高い濃い色の衣服を選び、肌の露出を避けましょう。また、帽子はつばが7センチ以上あるものが有効です。ただし、野球帽では横からの紫外線は防げず、地表からの反射も避けられません。そういう意味では日焼け止めを上手に使い、紫外線を避けることが効果的といえます。[画像の拡大]

外出デビューにこそ、日焼け止めを

生後3カ月を過ぎると赤ちゃんの外出デビューとなりますが、それまでずっと部屋にいた赤ちゃんはメラニン(色素)が少ないため、日焼け止めを塗ることはとても効果的です。水で落とせるタイプで、肌に負担が少ない「弱酸性」「無香料」「無着色」のものをおすすめします。また、SPF値20ぐらいが目安でしょう。

紫外線に関する正しい知識を持ち、太陽と上手につき合ってほしいものです。

<日焼け止めの選び方>
目立たないところに塗って赤くならないかをチェック。
日常ではSPF値10〜30、PA++程度。
プールや炎天下ではそれ以上のものを。
<日焼け止めの上手な塗り方>
汗や汚れをきれいに落としてから塗る。
少しずつたっぷり、ムラなく引き伸ばす。
2〜3時間おきに塗りなおす。
汗をかいたり、水遊びをするときは、その都度塗りなおす。
帰宅後は肌にやさしい洗浄剤でやさしく洗い流す。

市橋正光先生

サンケア研究所所長 サンクリニック院長(大阪市北区)神戸大学名誉教授、同志社大学教授。専門は紫外線による皮膚損傷、発ガン、光線過敏症、色素異常症などの研究。日本皮膚科学会評議員、日本光医学・光生物学会理事長、太陽紫外線防御研究委員会理事ほか、所属学会多数。講演やセミナーも行い、国内外で活躍。
http://www.sun-clinic.net

市橋正光

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