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子どもの急病で困ったときは、浣腸を!

発熱、かぜ 子どもの病気 教えて!ドクター

(2014年 夏号 掲載)

お子さんの急病

皆さんはお子さんが「夜に熱を出して急にぐずりだした」、「幼稚園から帰ったら頭が痛いといって元気がなくなった」、「家族旅行で、宿についたら元気が無く食事をとらない」など、急な病気で困ったという経験はないでしょうか。これから夏休みもありますが、このような場面に出会うことも多いかと思います。このような時、私が勧めるのはグリセリン浣腸です。多くの場合、浣腸するとたちまち頭痛や不機嫌、腹痛なども治まり、ずっと具合が良くなります。

浣腸が効いた事例

私のクリニックでも、このような症状の訴えのときは院内で浣腸するか、あるいは処方して家でお母さんにやってもらいます。もう10年も前のことですが、6歳の男の子が「頭が痛い、痛い」といって顔を引きつらせて大騒ぎしながら来院されました。お母さんから話を聞きますと、「午後から急に熱が高くなって頭が痛いと泣き出した。顔つきも変になっている。先生、早く何とかして」と焦り気味でした。そこでグリセリン浣腸60㎖をしますと、大量の排便があってたちまち頭痛は治まり、顔つきも穏やかになっていました。「もう痛くない?」と問うと「うん!」と応えてくれました。お母さんも「どうして?」と狐につままれたような顔をしました。そうです、浣腸は急な頭痛や不安、不機嫌な状態を改善する魔法の妙薬なのです。

イチジク浣腸の歴史

浣腸は便秘のときだけ使う薬と思っている人が多いかもしれませんが、実はこどもが急に具合悪くなった時、もっとも重宝するのは浣腸です。多くの場合、浣腸して排便を促せば症状はほぼ治まるか大幅に改善し、ぐっすり眠れるようになります。

実はこのことに最も早く気付いたのは90年も前の東京の町医者、田村廿三郎医師でした。田村医師は夜間に子どもが熱を出した、ひきつけたといったことで振り回されていましたが、その多くが浣腸で便秘を治してやると立ち所に治ることを見つけ出しました。当時の浣腸は医師が大きな注射器で薬液を直腸内に注入するものでしたので、子どもが急に具合悪くなったときにすぐに行うことは困難でした。
そこで子どもの苦しみを一刻でも早く取り除くために、家庭でもできる浣腸の開発を行い、大正15年に製造販売会社を設立、それが現在でも続いているイチジク製薬株式会社です。

イチジク浣腸の使い方

成分は水とグリセリンなので副作用もトラブルもほとんどなく、使い方も難しいことはありません。1歳未満は5g(10gの半量)、1歳から5歳までは10g、6歳から11歳までは20g、12歳以上は30g、便秘がひどいときは40gのものを用いてください。おおよそ薬液を注入してから5〜10分ほどで排便があります。それ以上経っても排便がない、あるいは排便があっても症状が変わらないときは病院を受診した方が良いでしょう。もし浣腸で血便が出たときは腸重積症の恐れがあり、直ちに病院を受診してください。

家庭に常備し、旅行では常に携帯し、子どもに何かあったらまず浣腸してみる、そのような習慣を身につけると無駄な、あるいは無理な医療機関の利用が避けられ、親子共々ハッピーな家庭になると思われます。

草刈章先生

くさかり小児科(埼玉県所沢市)院長。昭和24年山形県米沢市で誕生。福島県立医科大学卒。昭和52年~61年都立清瀬小児病院に勤務。昭和62年にくさかり小児科を開業。診療のモットーは、薬に頼らずに命の生きる力を最大限発揮するような医療を実践。趣味:野菜作り。

草刈章

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