1996年に小児科クリニックを開院してもうすぐ30年になります。勤務医時代に診ていた重篤な症状の患者とは違い、開業後は元気なお子さんも健診や診察の対象になり、「なぜ、元気そうに見える子がクリニックに来るんだろう」と最初は戸惑いもありました。でも、それは間違っていると気づきました。元気なお子さんの健康を守るサポートこそが、地域の小児医療を支えるかかりつけ医として大切なことなのだと。そして、その中には数は少ないものの、見逃してはならない重大な病気があることもわかりました。

コロナ禍では人と人との接触が少なくなり、マスクや手洗いなどの感染症対策を皆さんが行ったことで、数年間はインフルエンザなどの感染症の流行はほとんどありませんでした。しかし、一昨年あたりからインフルエンザやRSウイルスなど、季節を問わずにさまざまな感染症が流行し、コロナ禍前とは違う流行パターンが見られました。ですが今年の傾向を見ていると、そうした不規則な流行の波がだんだんと収まり、感染症の流行に季節性が戻ってきているように感じています。
冬に流行する感染症といえば「風邪」がありますが、そもそも「風邪」とはウイルスや細菌によって、鼻やのどなどに急性の炎症が起こる感染症の総称(「風邪症候群」と呼びます)です。
風邪の主な原因であるウイルスは200種類以上あるといわれ、感染経路は主に飛沫感染や、手指を介した接触感染が挙げられます。ほとんどのウイルスには有効な治療薬がないため、熱や鼻水、咳といった辛い症状を和らげる対症療法しかありません。お子さんを感染症から守るために、日頃から家族みんなで予防を心がけることが大切です。そして心配な症状があれば、かかりつけ医に相談しましょう。

「急性呼吸器感染症」は新しい病名ではなく、上記で紹介した風邪症候群やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、溶連菌感染症など、のどや鼻、気管、肺などに急に起こる感染症の総称です。
この急性呼吸器感染症が2025年4月から感染症法上の5類感染症に位置づけられました。これにより、あらかじめ指定された病院やクリニックがこれらの感染症を診断した場合、発生状況を定期的に国に報告します。その目的は、流行しやすい急性呼吸器感染症の動向を把握し、流行に関する情報発信や対策につなげることです。さらに仮に未知のウイルスが流行したときにいち早く探知し、対応することです。新型コロナウイルスでの経験をふまえ、感染症の発生に対して医療機関や国が今まで以上の対策を取るようになったのです。
「風邪が5類感染症?何か変わるの?」と不安に思うかもしれませんが、病院の診察方法や治療はこれまでと変わりありません。


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