ママのためのぷち心理学
ママもパパも、日頃から周囲との人間関係には気を遣っていることと思います。たとえば、あまり親しくない人に何かを頼む時、遠慮がちになることはありませんか。よくあるのは、貸したものをなかなか返してもらえない場合。貸した本がいっこうに戻らず、早く返してもらいたい時など、ストレートに「早く返してください」と頼むのは、相手が気を悪くするのではないかとためらってしまいます。
ある人は、本を返さないのは、相手がもう忘れてしまっているからではないかと考え、ヒントを出して思い出してもらうという名案(?)を思いつきました。そして、次のように言ったのです。
「以前に貸した本、返してもらうのは別にいつでもいいですよ」。
これは、私が以前に行った誤解の調査で得た報告ですが、よく似た例はけっこうあります。つまり、遠慮や気遣いから遠回しな頼み方をすると、意図が伝わらないことがあるのです。はっきり頼むことを「直接要求」、遠回しに頼むことを「間接要求」と言いますが、大人どうしのコミュニケーションでは、直接要求をすることに抵抗を感じがちです。
職場での次のようなエピソードもあります。ある上司が、給湯室に洗っていない湯飲みがたくさん放置されているのを見て、部下に洗ってほしいと考えました。そして、「使った湯飲みがたくさんあるね」と言ったところ、部下は「そうですね」と答えただけで終わってしまったということです。
日本のコミュニケーション文化は「察し」の文化だと言われ、その時の状況や相手との人間関係などから、言外の意味を推し量ることが多いものです。でも、世代や環境によって、察しが通用するかどうかは違ってきます。
そこで、遠回しな頼み方が相手に通じないと感じたなら、不満を飲み込んでしまうのではなく、「はっきりと、しかし丁寧に」伝えた方がよいでしょう。
冒頭の例で言うと、「お貸しした本が急に必要になったので、明日にでもちょっと戻していただけませんか」といった言い方をすれば、相手の気分を害することもなく、すみやかに本が戻ってくるでしょう。
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